ブギの女王・笠置シヅ子の一生を歌と芝居と生バンドで描く舞台「SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~」が1日、東京・IMMシアターで開幕した。
開幕に先立ち、7月31日にはゲネプロが行われ、演出を手掛ける白井晃、音楽監督の小原孝、主演の神野美伽、共演の福本雄樹、九条ジョー、加藤虎ノ介、鈴木杏樹が登壇した。
6年前に大阪で初演された作品。その後、東京公演が予定されていたが、コロナ禍の影響で中止となり、今回ようやく上演が決まった。主演の神野美伽は「人生の中で、もう一度取り組んでみたいと6年間、思い続けてきました」と感慨深げ。さらに、朝の連続テレビ小説「ブギウギ」で笠置シヅ子への注目が集まったことについて触れ、「このお話の中で“使命”という言葉が何遍も出てくるんですけど、この作品が持っている役割というものがあるんじゃないかなと、6年前には感じなかったことを感じながらやっています」と思いを込めた。
シヅ子を慕う妹分・お雪を演じる鈴木杏樹は「笠置シヅ子さんのお墓参りに神野さんと一緒に行って『応援して下さい』ってお願いしてきました。今回、きっと見ていただけていると思うので、心を込めてお芝居させていただけたら」。服部良一役の加藤虎ノ介は今回が初参加。「白井さんの演出が楽しくて、いい意味でたくさん火を点けていただいた。この夏、この座組で全力でやりたい」と語った。シヅ子の恋人・吉本穎右と弟・八郎を演じる福本雄樹は、「笠置シヅ子さんのパワフルな曲に負けないように、神野さんを中心にみんなで盛り上げて楽しい舞台になれば」と笑顔を見せた。
また、レコード会社のマネージャーを演じる九条ジョーは「本当に老若男女全員が楽しめる、大好きな、炊き込みご飯のような舞台になったな、と。ミュージシャン、俳優さん、芸人、いろんなアベンジャーズが集まって1つのものを作り出すという、本当に素晴らしい舞台になっています」と力を込めた。
音楽監督を務める小原孝は「役者とミュージシャンとセットと、全てが一体化していて、我々も劇の中に入り込むような気持ちになれる作品で、すごく画期的」。服部良一の幻の名曲「大空の弟」についても、「『ブギウギ』にも登場しましたが、その時はテレビサイズ。今回はフルサイズでお聞かせしますし、すごく重要なポイントになっているので、ぜひ聞いていただけたら嬉しいです」と熱を込めた。
今回は以下の日程とメンバーでアフタートーク付き公演も行われる。
▼2日 マキノノゾミ×白井晃
▼4日 白井晃×服部隆之
▼5日 國村隼×キムラ緑子
▼7日 鈴木杏樹×藤井隆
▼9日 福本雄樹×九条ジョー×加藤虎之介
鈴木や白井のほか、國村隼、キムラ緑子、藤井隆らが日替わりで登場予定。服部良一の孫で、作曲家の服部隆之も参加予定だ。白井は「良一先生の書かれた曲をこういう形で舞台にしているというのを隆之さんに見ていただいて、どういう印象を持たれるかが楽しみだなと思います」と語り、特別な舞台への期待を膨らませた。
◆「SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~」 物語は昭和23年、有楽町の日劇のステージから始まる。人気絶頂期の笠置シヅ子が「ブギウギ時代」「ジャングル・ブギ」をパフォーマンスし、観客を物語の世界へ引き込む。ストーリーは、シヅ子が歌の合間に語る自身の半生を軸に展開。宝塚音楽学校の受験失敗、松竹入団、服部良一との出会い、そして恋人・穎右との幸せな日々と別れ―。神野美伽は、まるでシヅ子が乗り移ったかのような熱演と熱唱で魅了する。「ラッパと娘」「センチメンタル・ダイナ」「東京ブギウギ」などのパフォーマンスは生バンドの演奏と相まって圧巻だ。「大空の弟」のシーンでは、神野の魂のこもった歌声と、福本演じる八郎の手紙朗読が重なり、涙を誘う場面に。終盤には「買い物ブギー」「銀座カンカン娘」など劇中に登場しなかった楽曲も披露され、観客も手拍子で参加。アンコールでは「ラッパと娘」でステージと客席が一体となった。
11日までIMMシアターで上演中。