歌舞伎俳優の坂東玉三郎が3日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「八月納涼歌舞伎」(26日千秋楽)の第2部「火の鳥」に出演した。

 手塚治虫さんの漫画、アニメやロシア民話などで知られる「火の鳥」の伝説を、神秘的で幻想的な新作歌舞伎に。

原純氏と共に演出を手掛ける玉三郎が火の鳥を、火の鳥を探す旅に出る王子の兄・ヤマヒコを染五郎、弟・ウミヒコを團子が演じた。数年前から企画を温めていた玉三郎は「見て良かったなと思ってもらえる作品になれば。自由に見ていただきたい」と呼びかけた。

 現在75歳の玉三郎は昨年9月の「妹背山婦女庭訓 吉野川」、10月の「源氏物語」で20歳の染五郎と、12月の「天守物語」で21歳の團子と共演した。今回、再共演することで、作品を上演するだけでなく、2人が持っている潜在能力を一層、引き出そうとしている。

 7月に行われた取材会でも染五郎と團子の将来性に期待を寄せた。「舞台に対して、素直で謙虚で真っすぐか、一緒にやらないと分からない。共演したことで、2人ともそうであると確信を得ました。どんな芸術家、舞台人でも、我を張るところはある。でも芯の芯はそう(=謙虚)であるかということが、一生進歩し続けられるカギになる。今は2人とも、それを十分に持っていると思うので、ご一緒しているんです」と説明していた。

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