横浜FMは4日、横須賀市内で東京V戦(9日・味スタ)に向けて全体練習を行った。

 この日はマリノスや松本で活躍し、2011年に急性心筋梗塞で亡くなった元日本代表DF松田直樹さん(享年34)の命日。

練習前に大島監督、選手、スタッフ全員でクラブのレジェンドに黙とうをささげた。

 練習後に取材に応じた主将MF喜田拓也は「日常を過ごしていると、普通に練習や試合ができるのが当たり前、もっと言うと、このクラブのユニホームを着られるのが当たり前だと思ってしまう。それが日常だと。そうじゃないと。その普通がどれだけありがたくて、色んな人に感謝の気持ちを持たなければいけないかを教えてくれる出来事でもある。練習前にもチームで共有しましたし、感謝の気持ちを持とうというのと、もっと僕らがクラブの価値を上げていかないといけない。そういう偉大な人がいたという事実と、僕らが今できることはより誇りに思えるクラブにしていくこと。改めてその思いを持って頑張っていきたい」と、チームを代表して思いを明かした。

 現役時代に共にプレーした経験こそないが、下部組織出身で生え抜きの主将がジュニアユース時代には、トップが同じ施設で練習していたこともあり、練習後の松田さんと一緒にボールを蹴った記憶が色濃く残っているという。「すごく気に掛けてくれて、『一緒に蹴ろうぜ』みたいな軽い感じで遊んでくれた。そういうのは覚えていますし、こういう人が、一流なんだろうなって思いましたし、今プロとしてマリノスでやらせてもらって、どれだけ偉大だったかをすごく感じている。すごく強い人だったなと改めて思うし、クラブを作ってくれた重要なひとりなので、また良い思いをしてもらえるようなクラブの姿にしていきたい」と決意を新たにした。

 チームは今季開幕から低迷し、現在もJ2降格圏内の18位。この苦境を乗り越えるためにも、喜田は松田さんが現役時代に表現してきたような、熱い魂のこもったプレーを示していかないといけないと強調する。

 「見ている人の気持ちや、クラブの思いを表現できる人というイメージがすごくあるので、自分もそういう選手にならないといけない。それだけのものを懸けないといけない。犠牲にするものもあると思うけど、そういう人たちはそれを率先してやるし、その姿も見てきたし、それだけのものを懸けて初めて、このクラブにいるということだと思うので。今いる全員がその思いの強さを持たないといけない」

 リーグ戦再開となる9日の東京V戦から残り14試合。「とにかく目の前の1試合に全てを懸けます。本当に目の前の試合が全てだと思っているし、その3ポイントが自分たちの人生を変えると思っているので。その思いの強さを全員が持ってやっていければ、必ずはい上がっていけると思う。這いつくばってでも、みんなでやっていきたい」。全身全霊をかけて戦い抜き、J1に残留する。

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