「童謡の謎」シリーズで作家としても活躍する歌手の合田道人(63)がこのほど、最新刊「あの唄も、この曲も 実は戦争の歌だった童謡・愛唱歌の謎」(笠間書院、1980円)を発売した。

 「ウミ(初出時の表記)」や「カモメの水兵さん」「我は海の子」には戦意高揚を目的とした歌詞があり、戦後封印されたことや、「蛍の光」「桃太郎」「ぞうさん」「汽車ポッポ」などの曲も戦争の影響を大きく受けていたことなどを解き明かす。

「悪い歌詞だとして封印してしまっては何も学べない。今の平和があるのは戦争で命を失った人たちのおかげ。戦争は悪いこと、間違っていたこととして蓋をしたら亡くなった人たちが浮かばれない」

 2005年にも「本当は戦争の歌だった童謡の謎」を発売しているが、「20年前より戦争がたくさん起きているのに日本人はどこか他人事のまま。すべて書き口を変えました。たった80年前はこんな時代だったんだよと、身近なこととして感じて欲しい」と呼び掛けた。

 終戦後の1948年に戦犯としてジャワ島で処刑された日本兵・佐藤源治さんが故郷に寄せた手紙に、合田がメロディーをつけた「僕は唱歌が下手でした」も大切な曲のひとつ。「この前、秋田で童謡コンサートの最後にこの曲を歌ったら子供たちが泣いていた。そのことを遺族の方に伝えたら『源治おじさんもきっと喜んでくれると思う』と話してくださった。生きていることのすばらしさを感じるための活動はしていきたいですね」と思いを新たにしていた。

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