◆フジテレビ系「明日はもっと、いい日になる」宮崎暖プロデューサー

 フジテレビ系「月9」枠で放送中の児童相談所(児相)を舞台にしたヒューマンドラマ「明日はもっと―」が、児童福祉司の等身大の葛藤や家庭内の卑近な問題を描き、反響を呼んでいる。

 月9初主演の女優・福原遥(26)が、神奈川県警の刑事から児相へ出向し、新人児童福祉司として奮闘する主人公・翼を好演している。

プロデューサーの宮崎氏は2015年に同局入社以来、ドラマ制作畑で22年「元彼の遺言状」、24年「イップス」などを担当。月9のチーフプロデューサーは本作が初挑戦で「月9は特別な枠。入社以来、追いかけてきた夢が一つかなった」と喜びを語る。

 さまざまな事情を抱えた親子が登場する本作は、宮崎氏の「夏休みに見て少しでも隣にいる家族に優しくなれるようなドラマを作りたい」という思いが出発点だ。

 「児童相談所の現実と、世間が抱く児相のイメージとのギャップを疑問に思っていた。子供が悲惨な目に遭った事例が報道されることが多いけど、児相の働きで虐待の手前で保護された子供や救われた家庭がある。表面化されていないことをドラマで描きたいと思いました」

 原作の映像化ではなく、「自分の家庭にも起こりうるかもしれない、という紙一重さを大事にした」オリジナルストーリーであることもこだわりの一つ。4か所の児相に足を運び、第6話が放送された現在も取材を継続中で「児相によって問題へのアプローチの仕方が全然違ったのは発見だった。親子に接するのに正解がないことはすごく勉強になっている」。本作でも、正義感の強い主人公・翼だけでなく、風間俊介(42)演じる自らも親子関係に悩みを抱える児童福祉司ら多様な職員を登場させている。

 親子のすれ違いや、声にならない叫びが丁寧に描かれる。視聴者がシビアで胸が締めつけられるような現実を自覚する一方で、すがすがしさや、じんわり心が温まる“読後感”が魅力だ。

 プロデューサーとして大事にしているのは「年次や立場問わず、さまざまなスタッフの声をたくさん聞くこと。特に子を持つ母親の苦悩は、僕のような30代の男には計り知れない心情もある。絶対に自分が通っていない道や、人生を歩んできている人たちがいっぱいいる。そこに思いをはせ、ドラマ作りを通じて添い続けたい」と自らに言い聞かせるように約束した。(奥津 友希乃)

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