沖縄県北部に7月25日、新たなアミューズメント施設「ジャングリア沖縄」が誕生した。南国の海という従来の沖縄のイメージとは一線を画し、「森と冒険」をテーマに据えた自然共生型の大型テーマパークだ。

テーマパーク評論家の杉崎聡紀氏が「ここには都市型パークでは得られない体験がある」とその魅力を語った。(久保 阿礼)

 視界いっぱい緑 沖縄初のテーマパークとして注目を集めるジャングリアは、ゴルフ場跡の広大な敷地を活用し、可能な限り自然の地形や樹木を残す設計が施された。ビルなどの人工物が視界に入らない仕掛けは、他のテーマパークでは見られないという。杉崎氏は「都市型のテーマパークではビルを隠すために植栽を工夫する必要があるが、ここではそもそも隠すものがない。緑が視界いっぱいに広がる空間は、それだけでぜいたくですね」。

 アトラクションは全部で22種類。映画「ジュラシック・パーク」でも知られる肉食恐竜T―REXから逃走する「ダイナソー・サファリ」や熱気球、ワイヤにつり下がり滑走するジップラインなどがある。

 各々時間かけて 「恐怖と興奮が一体となった体験ができます。国内でもこの規模で遊べる施設はほとんど見られません」。安全確認や装着準備などに時間がかかるため、従来の乗り物のように、短時間で連続して楽しむスタイルとは異なることから、杉崎氏は「一つ一つをじっくり味わう“コース料理”のような楽しみ方が適しています」と表現した。

 園内は広大で通路の幅も広く確保されており、他の客との距離が保たれる設計になっている。「特に、混雑時や暑い時期にはパーソナルスペースが確保されているだけで快適さが大きく変わります。

来園者からも好評ですね」

 併設スパも人気 併設された天然温泉施設「スパ ジャングリア」も人気を集めている。とりわけ「インフィニティ風呂」は、森の風景と一体化するように設計され、視界を遮る建物が一切なく、ギネスが巨大風呂の世界記録として公認した。「まるで森に浮かぶ温泉です」。アトラクションの後に汗を流し、自然に囲まれてリラックスする来園者も多く、杉崎氏は滞在時間は半日から6時間程度に抑える“ゆったり型の過ごし方”を提唱した。

 飲食施設はレストランとフードコートが中心で、混雑を避けた時間帯には落ち着いて食事を楽しめる。アルコール提供もあり、大人の来場者にとっても魅力的な空間で「レジャーというより、リゾートのような過ごし方ができるのがジャングリアの特徴」という。

 敷地全体は約120ヘクタールだが、現在使用されているのはその半分にすぎない。ホテルの建設なども検討され、ディズニーシー級のエリアを新たに建設できる敷地がある。開業初日からインバウンド観光客の姿も見られ、今後の国際的な集客への期待も高まる。

 「沖縄=海」という固定観念に「森」を加えるという狙いがあるというジャングリア。「運営側の方針は、『沖縄観光の最終目的地というより、新たな彩りを加える“選択肢”として機能してほしい』というもの。沖縄で『森を楽しむ』という発想はこれまで少なかったと思います。

海と森、温泉。この3つがそろう観光地は世界的にも珍しいので、ぜひ、多くの人にその価値を体感してほしいですね」

 ◆主なアトラクション

 ▼DINOSAUR SAFARI(ダイナソーサファリ) 約18分のジャングル探検。T―REXなど最大20体の恐竜が登場する迫力満点の逃走劇。br> ▼SKY PHOENIX(スカイフェニックス) 約19メートルの高さから距離約280メートルを一気に滑空。br> ▼BUGGY VOLTAGE(バギーボルテージ) オフロードをバギーで走り抜ける。家族向けと難所の2種類。br> ▼FINDING DINOSAURS(ファインディングダイナソーズ) 迷子の赤ちゃん恐竜を探す冒険型アトラクション。つり橋、トロッコなどを使って、子供も楽しめる。br> ▼HUMAN ARROW(ヒューマンアロー) 巨大なゴムで引き戻され、その後、一気に前方へはじき出される“人間弓矢”。

 ◆施設概要

 ▼住所 沖縄県国頭郡今帰仁村字呉我山654の32br> ▼料金 1Dayチケット(大人6930円、子供4950円)/スパ・チケット(大人2640円、子供1540円)など。1日券あり。3歳以下無料br> ▼アクセス 那覇空港→沖縄自動車道→許田IC→国道58号/県道71号→ジャングリア沖縄(所要時間・約1時間30分)。

提携や事前予約の駐車場あり。那覇空港や那覇市内など、主要な場所からのシャトルバスも運行br> ▼アトラクション・ショー 22種類br> ▼飲食施設 15か所br> ▼物販 10か所

口コミ削除疑惑「関与しておりません」 開園直後、話題となったのが「口コミ削除疑惑」。誰でも書くことのできるGoogleマップのレビューやコメントが一気に減ったことから、「運営側が不都合な書き込みを削除したのでは」との疑いの目がSNS上などでささやかれた。

 これに対し、ジャングリア側はGoogle側に状況や原因の確認をすると説明。7月30日に公式Xで「レビューが非表示になる等の現象について、当パークは関与しておりません。お寄せいただいたご意見・ご要望を真摯(しんし)に受け止め、日々パーク運営の改善をし、体験価値向上に努めてまいります」との“宣言”を出した。

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