ドイツ1部リーグ(ブンデスリーガ)は22日(日本時間23日早朝)に昨季王者のバイエルン対ライプチヒ戦で新シーズンの開幕を迎える。今季はフライブルクからフランクフルトに移籍したMF堂安律(27)ら実力者に加え、フライブルクMF鈴木唯人(23)、ザンクトパウリMF藤田譲瑠チマ(23)、マインツMF川崎颯太(24)ら次世代の日本代表を担う若手たちも初参戦。
自らの足で、新たな道を切り開いた。昨季、町野はクラブ史上初のドイツ1部リーグを戦ったキールで、チーム最多の11ゴールを記録。チームは2部降格となったが、過去5度のリーグ優勝を誇る古豪ボルシアMGへの移籍を果たした。欧州に渡って3シーズン目の開幕を直前に、キールで2部、そして1部を戦った自信とともに、新天地にやってきた。
「(23―24年シーズンに)ドイツにやってきて、最初は2部でも力の差はありました。(昨季は)1部に上がってから苦しいシーズンでしたが、ある程度適応できたと思います。(ボルシアMGでも)どういう役割かはポジションによっては違いますけど、ゴール以外のところでも起点になれるんじゃないかなと感じています。僕の特徴を(チームメートに)わかってもらって、最後、僕に出しておけば決めてくれるっていう信頼感を一日でも早くつかめるように、やってきたいと思っています」
キールでは1年目は2部で5得点にとどまったが、チームが1部昇格した2年目は11点と一気に飛躍した。その理由のひとつに、やはりドイツサッカーの特徴とも言えるインテンシティー(強度)への適応を挙げた。
「ブンデスは、高強度で動き続ける能力が高い選手が多い。
ドイツサッカーの根幹とも言える強度の高いプレーに適応していく中で、力を発揮していった町野。シュートパターンの多さやシュート精度の高さ、という持ち味で、仲間の信頼も得てゴールという結果を残した昨季。しかし、新天地では、また信頼をつかむ作業が必要となる。ボルシアMGでは移籍直後の負傷で出遅れることになったが、すでに全体練習にも復帰。
「本当にこの1年は、僕のサッカー人生を変えるかもしれない。今まで、移籍1年目は結果を出せていないことが多いんです。(キールで)2部の時も5ゴールと、個人としては結果を残していない。(J1)湘南でも1年目は4ゴール。(チームメートからの)信頼感が圧倒的に足りなかった。今は、どれだけやるんだっていう目で見られている期間。狭いエリアで局面を打開したり、パスを出しておけば何とかしてくれる、という印象が必要。ただ、一番大事なのは圧倒的にゴールです」
ボルシアMGに移籍後、町野が背番号18を昨季までつけていたMFオスカー・フラウロから譲り受けた。SNSでは「愛しているぜオスカー!」とドイツ語で喜ぶ姿が話題となったが、18番にこだわった理由があった。
「(少年団時代、監督だった)自分のお父さんから初めてもらったユニホームの番号が18でした。お父さんと兄が8番が好きで。
ラッキーナンバーを背負い、挑む勝負の年。「この1年は、僕のサッカー人生を、変えるかもしれない」と語る理由は、やはり26年6月に待つ北中米W杯だ。後編は、W杯への思いについても明かす。(後編に続く)
◇町野 修斗(まちの・しゅうと)1999年9月30日、三重・伊賀市出身。25歳。