ドイツ1部リーグ(ブンデスリーガ)は22日(日本時間23日早朝)、開幕を迎えた。昨季同リーグで日本人最多の11ゴールを挙げ、キールからボルシアMGに完全移籍したFW町野修斗(25)が、ブンデスリーガ協力の下でスポーツ報知の独占インタビューに応じた。
成長し続けることで、W杯への道は開かれる。今季、新天地ボルシアMGへの移籍を決断した町野。プレシーズンは負傷で出遅れたが、すでに全体練習にも合流し、ブンデス5度の優勝を誇る古豪での活躍を見据えている。
「自分の中では、15点ぐらい取りたい、と思っています。得点王? いやそこまでは。ハリー・ケーンさん(バイエルンのイングランド代表FW、昨季26ゴールで得点王)がいるんで。(去年より)チャンス数は増えると思うので、そこでしっかりと仕留められるように準備したい」
欧州5大リーグでの日本人最多ゴールは、マインツ時代の元日本代表FW岡崎慎司氏が持つ15点。くしくも岡崎氏は、スポーツ報知のインタビューで注目する選手に町野の名を挙げ「着実にステップアップしてきている。この1年しっかりチームで結果を残せば、W杯でも結果を出せるストライカーとして躍り出てくると思う」と予想していた。カタールW杯で出場なしに終わり、味わった悔しさが世界を目指すきっかけとなった町野にとっては、今季は“答え合わせ”の1年にもなる。
「(カタールW杯が行われた22年は)目の前にある階段を一気に駆け上がった感覚で。
悔しさを胸にドイツに渡ったのは、再び代表で輝くためでもあった。しかしカタールW杯後には約2年間、森保ジャパンから遠ざかった。その間、ドイツの環境は町野を変えた。Jリーグ時代から多くの得点パターンを備えた万能型のFWとして台頭したが、そこにプレスの強度、ポストプレーの力強さも加わってきたのだ。
「力強さは、かなりついてきたと思います。それは筋トレの成果もありますし、日々の練習から各国を代表して戦っている選手と、切磋琢磨できているおかげかなと。上半身も下半身も、結構変わりました。
今年6月、約2年ぶりに日本代表に復帰すると、アジア最終予選のインドネシア戦(6月10日・6〇0)で先発し、ポストプレーで2列目の選手も生かしながら1ゴール2アシスト。自身を「9・5番(という表現が)が一番しっくりくる」と表現し、点取り屋の責務も背負いながら、中盤と前線のつなぎ役ともなるスタイルで、上田綺世(フェイエノールト)、小川航基(NEC)らとのポジション争いに挑むことになる。
「(W杯が)近づくにつれ、思いは増す一方です。(18年ロシアW杯の)遠藤航さんとか、僕と同じく出場できなかったところから這い上がった選手も多い。僕もリバウンドメンタリティーを出したい。ダメだった時もいい思い出にできるのは、未来で活躍してからなので」
カタールW杯、ベスト16でPK戦の末に敗れたクロアチア戦。町野は延長戦でアップのペースを上げていた。さらにPK戦で、キッカーをつとめる覚悟も固まっていたという。しかし最後まで声はかからず、ベンチから敗退の瞬間を見届けた。
「PKのことは考えてました。日本のために蹴れるなら絶対蹴りたいし、今まで(PKは)外したことがないので自信もありました。ただ、僕にはその権利がなかった。もう一度W杯に出て、前回試合に出られなかった経験を、いい方向に変えたいです。同じ舞台で」
あの時、止まった時間を再び動かすため。町野はドイツの地で、新たな戦いに挑む。