◆明治安田J1リーグ▽第27節 柏4―2浦和(22日・三協F柏)

 【浦和担当・金川誉】浦和に関わる全員にとって、重い敗戦だった。試合終了から約20分後。

監督会見に現れたスコルジャ監督は、落胆を隠しきれなかった。「後半は4失点してしまい、良くないものになりました。ゲームマネジメントをしたかったのですが、ピッチ上でそれができませんでした」。つとめて冷静に振り返っていたが、その後の質疑応答。いつもは丁寧に応じる指揮官だが、この日ばかりは口数が少なく、苦悩の表情が痛々しかった。

 前半はCKとカウンターで2点のリードを奪った。後半は前に出てくる柏の圧力をカウンターでそぎ、とどめの3点目を奪えれば、勝利に近づいていたはずだった。しかし後半9分、柏FW瀬川に決められて失点。この瞬間、浦和の選手たちは1トップの松尾を含め11人全員が自陣ボックス内にいた。それでも失点は防げなかった。ラインを下げた固い守備は浦和の特徴だが、後半早々にあっさりと失点したことで、その自信すらも揺らいだように見えた。

 その後は柏のパスワークに振り回され、疲弊した選手を代えて耐える展開に。

後半33分には細谷の決定機を、右サイドバックのDF石原が見事なタックルで防ぐなど、必死に耐えた。だが石原も体力の限界を迎え、同じく疲弊していたDF長沼を右SBに回し、左MFで投入した荻原を左SBに下げて対応。しかし後半38分に同点ゴールを許すと、堤防が決壊したように失点を重ねた。

 GK西川周作は、1失点後に全体が下がり過ぎた点について「なぜそれが起きたか、チームで改善していかないと」と顔をしかめ、リスクを恐れてボール保持の時間が作れなかったことを課題に挙げた。さらにMF安居も「取った後も全員が守備をしていて、前に誰か起点になる選手がいるわけじゃない。とりあえず蹴って、ラインを上げるしかない状況が攻撃につながらなかった」と悔やんだ。サビオらが体力十分の間は個人で相手をはがして攻撃の時間をつくることができたが、交代メンバーが入った後には同じ質は求められなかった。怪我人の影響もあるが、守り切るためのベンチメンバーも十分とは言えず、交代選手が3ゴールを上げた柏との差を露呈する結果となった。

 試合後には選手の一部とサポーターが一触即発の場面も起こるなど、この敗戦で負ったダメージは大きい。ただMF金子は「試合後は感情的になるところがあったので、具体的な話はしていないですけど、本当にまだ終わっていない。あきらめちゃったら終わりなので、前を向いてやっていこう、という話しはしました」と明かした。シーズン通じて積み上げてきたものが、揺るぎかねないショッキングな敗戦。

27日に迎える天皇杯準々決勝のFC東京戦(埼スタ)までに立ち直ることができるかが、今シーズンの大きな分岐点となりそうだ。

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