◆明治安田J2リーグ 第28節 札幌1-0大宮(30日・大和ハウス プレミストドーム)

 北海道コンサドーレ札幌が、上位へ食らいつく2連勝を飾った。ホーム・大宮戦は前半47分、MF高嶺朋樹(27)が自らのドリブル突破から得た直接FKを決めて先制。

主将が奪った1点を一丸となって守り抜き、1―0で勝利。柴田慎吾監督(40)は3戦目の指揮で本拠地での初白星を手にした。順位は1つ上がって10位となり、プレーオフ圏の6位・仙台とは暫定ながら勝ち点6差となった。

 狙い通りの一撃が、何より欲しかった勝ち点3につながった。0―0の前半47分、ゴール正面からのFK。キッカーに名乗り出た高嶺は、冷静に状況を見ていた。「(ニアサイドの)壁側と(ファーの)GK側で、GK側の方に人が少ないな」。壁に立っていたのは7人。一番左にいた選手の横を狙えば、決められる確信があった。「ミートを心がけた」と言うライナーがゴール左隅に突き刺り「思い通りに蹴られた」と2連勝に導く決勝点を振り返るも「俺らは勝っていくしかないので」。笑顔はなかった。

 冷静さが決勝点の呼び水となった。

FK前のプレー。右サイドでパスを受けた瞬間から、イメージはできていた。「(1人目の)サンデー選手はトラップでかわせるなと。そこから相手はかなりシュートを警戒していたので。それを利用した」。思い通りに1人目を突破すると、打つそぶりを見せながら2人を抜き、ゴール前まで切れ込んで4人目の相手からの反則を誘った。「今年はミドルシュートが入っているので。相手の警戒をすごく感じる」。その心理を逆手に取り、最高の結果をつかみ取った。

 2連勝も2ケタ順位は変わらない。目標のJ1復帰への道のりは険しいままだが、高嶺は決して下は向かない。繰り返す言葉は「札幌を昇格させるために帰ってきたのだから」。

ベルギー1部からJ2という異例の移籍を決断したのは、下部組織を過ごした札幌だったから。高3時、トップチーム昇格が見送られる一報が届いた。午後の授業を受けられる状態になく、担任の計らいで教室を離れて涙したほど愛するクラブをこのままで終わらせるわけにはいかない。

 今季、高嶺の大きなゲキから練習メニューが始まるのが札幌の日常。「自分が先頭に立って、チームを引き締めながらやっていきたい」。どんな状況にあっても思いを体現し続ける主将が、残り10試合も皆を鼓舞し続ける。

(砂田 秀人)

 〇…DF浦上は3バックの中央で無失点勝利に貢献し「素直にうれしい」と喜びをかみ締めた。大宮には中高と下部組織に所属し、23年から今年6月までトップチームでプレーしていた。試合前は「今自分たちが置かれている状況とかを考えると、古巣とか個人的な感情は…」とあえて言及しなかったが、対戦を終え「とても感謝しているクラブ」と思いを吐露した。シーズン途中の完全移籍で札幌に来て、初対戦で挙げた白星。「活躍することで大宮にも恩返しをしたかった」と感無量の面持ちだった。

 接戦をものにし、柴田監督が3戦目の指揮で手にしたホームでの初勝利。

試合後、手を振りながらグラウンドを1周すると、大きな拍手と声援を浴びた。「どんな時もチームを支えてくださる方々の笑顔を見て回るというのは、これ以上ない、最高の景色だった」。満面の笑顔で祝福に応えた。

 序盤は守勢に立たされたが、前半途中から流れをつかみ、後半は攻勢に回った。それでも「守備の場面が多かった。ボールと相手を動かして2点目、3点目を取るのが理想」と1―0の結果に満足はしていない。思いを示すように、後半アディショナルタイムも果敢に追加点を狙った。「守りに重きを置きながらも一発刺すという考えは持っている」。柴田流攻撃的スタイルの一端をのぞかせた。

 就任から2勝1敗も「勝ち点3を失ったと思っている」。“遅れ”を取り戻すべく、2週間の中断期間へ「チームとしてこうやっていこうというのは落とし込みたい」とイズムを深める作業に入っていく。

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