4人組グループ「ふぉ~ゆ~」の辰巳雄大(38)が、12日に開幕する舞台「炎の風景」(21日まで、よみうり大手町ホール)で主演を務める。2週連続インタビューの前編では、悲願だった地元、埼玉・所沢市の観光大使就任によって高まる“所沢愛”と、飽くなき探究心を傾け続ける“芝居愛”を語った。
取材が始まると、おもむろにカバンから名刺を取り出し、丁寧に腰を折り「所沢市観光大使をやらせていただいております、辰巳雄大です!」とアイドルとしては異例のあいさつ。インスタグラムのプロフィル欄に「所沢市観光大使候補(自称)」と記し、地元・所沢の写真をアップする自主的な広報活動が実り「昨年、正式に就任させていただきました。候補でも自称でもなくなりました!」と笑顔がはじける。
インタビュー中も「観光大使活動していいですか?」と抜かりない。“辰巳大使”のイチオシ所沢市観光スポットについては「最近、(プロ野球・埼玉西武)ライオンズの試合をよく見るんですけど、源田壮亮選手と滝沢夏央選手の二遊間が、一番の観光名所だと思っています。本当に鉄壁で美しい。一見の価値、大ありです」と力説する。
どんなことにも全力投球が辰巳のスタイル。中でも熱中しているのが芝居だ。現在は、主演舞台「炎の風景」(演出・松森望宏氏)の絶賛稽古中。本読みに長い時間を割く、松森氏の演出に感銘を受けており「台本の奥の奥の、奥の方までみんなでダイブしている感覚があります。一つ一つのセリフが、自分の中で生きた言葉となって出ていっている」と手応えを語る。
本作は、新型無人航空機開発のため、政府プロジェクトの一員となったエンジニアの葛藤を描く。演じる主人公ネッドには「一つのことに全力を注ぐ人。僕もお芝居が大好きで、アイドルの活動も大好きで、それがない人生は考えられない。『これだ』というものにとことん情熱を傾ける思いの強さみたいなところは似ているのかな」と共感する。
入所してまもない2000年、フジテレビ系ドラマ「涙をふいて」で、嵐・二宮和也の弟を演じたことをきっかけに、芝居のとりこに。「(11年の)ふぉ~ゆ~結成前ですけど、役者一本で勝負したくて事務所を旅立とうと思ったこともある。いろいろな役を頂き、今は少しずつ幹が太くなっている感覚があります。死ぬまで役者でいたい」と芝居への探究心は人一倍強い。
俳優として「演じないこと」をテーマに掲げ、「役の人生を本気で生きたい。今回もネッドの葛藤や孤独や情熱がどんどん湧き上がって立体的になっている。生身の人間が魂をすり減らして生きているところを見てほしい」。芝居同様に「可能性しかない」と胸をときめかせ続けるグループ活動と、恩人である「嵐」への思いを語り始めた。
◆辰巳 雄大(たつみ・ゆうだい)1986年11月25日、埼玉県出身。38歳。98年事務所入所。2011年「ふぉ~ゆ~」を結成。18年「ぼくの友達」で舞台単独初主演。19年には同グループの福田悠太と「つ~ゆ~」を結成し、M―1グランプリに出場(3回戦敗退)。22年テレビ神奈川「信長未満―転生光秀が倒せない―」でドラマ初主演。23年「僕らの千年と君が死ぬまでの30日間」で映画初主演。趣味は古着集め。