◇明治安田J2リーグ第30節 札幌2―1徳島 (20日・鳴門・大塚スポーツパーク  ポカリスエットスタジアム)

 出場停止が4人いた徳島戦だったが、ボランチに入った木戸が技術の高さと視野の広さで良さを出すなど、若手が成長を見せた。初めて1トップに入った白井が反転気味に頭で決めた先制点は、シュート感覚が高くないと決められないもの。

これまではチャンスの際にイメージが少し足りておらず、難しい状態でシュートを打ったりしていたが、動きがスムーズになってきた。今後への期待が膨らむ選手が複数出たのは大きい。

 開始から試合を優位に進められた要因は、全員が滞りなくプレーできていたから。これまでは前線に外国人が入った時、ボールが収まるかどうかが分からず、周りがノッキングする場面が少なくなかった。徳島戦ではボールを簡単に取られない長谷川や青木がいることで、迷いなく人が動いていた。この試合だけを見ると「なぜ10位にいるのか」と思えた程、完成度の高い内容は見せられた。

 反面、シュート14本で2得点と、フィニッシュ精度の課題は浮き彫りとなった。改善していくには最後の最後の瞬間に、判断を変えられるようになっていくこと。パス一つにしても「通らないかもな」で出すのではなく、駄目ならもう一度持ち直して違うプレーを選択するとか、球を離すぎりぎりまで最善の道を模索すること。ボールが1メートル動いたら周りで何人も動くのがサッカー。何となくプレーしていては得点は増えてこない。

 6位との勝ち点差は5になったが、経験上、追いつくには5試合かかると思っていた方がいい。

一つ言えるのは追いかける立場の方が、勢いのある選手を思い切って送り込んだりできるもの。残り8戦、可能性はまだある。(吉原 宏太、1996~99年札幌FW)

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