米メジャーリーグサッカー(MLS)のLAギャラクシーでプレーするDF山根視来(31)が、スポーツ報知のインタビューに応じた。J1川崎などで活躍し、日本代表として22年カタールW杯にも出場した右サイドバック(SB)は、24年1月に米国MLSへ移籍。
30歳で飛び込んだ米国の地で、山根は刺激的な日々を過ごしていた。ビーチまで車で約15分ほどに位置するLAギャラクシーのスタジアム、ディグニティヘルス・スポーツパークに併設する練習場が、現在の主な職場だ。
「練習が終わって、車に乗って帰る時に見える景色が最高なんです。(車の)窓を開けて、空と、(道沿いの)椰子の木なんかも見えて。僕、ここに来るまで神奈川県から出たことがなかったんです。高校も大学も、プロになってからも。でも、意外と何とかなるものだなって思っていますね」
ロサンゼルスを拠点とするLAギャラクシーに加入して2年目。かつて川崎では超攻撃的SBとして、現在も日本代表として活躍する三笘薫、守田英正、田中碧らとチームに中心を担い、20、21年のJ1リーグ連覇にも貢献した。チームメートが次々と欧州へ移籍する中で、22年11月のカタールW杯から約1年後、米国へと渡った。
「(カタール)W杯では何も残せなかった。W杯が終わって、新しいチームで色々な選手が試されていく中で、自分はどうしていかなきゃいけないのかな、と考えました。
環境を変え、飛び込んだ米国の舞台。そこには求めていた日々が待ち受けていた。
「シンプルに足が速い、体が強いという選手が多い。基本的に筋肉量は違う。あとは判断。日本人選手だったら、例えばボールを大切に、チームとしてプレーしていく判断になりそうなところでも、1対2でも自分がいけると思ったら(ドリブルで)いく、みたいな。よりフィジカル的な要素が多くなってくる。守備の傾向としても、やっぱり人。自分が今まで日本人の中でやってきて、チャレンジ&カバーのところは、近くに味方が多くいることで、こぼしてもカバーしてくれていた。でも(米国は)人についているので、自分が剥がされると一気にいかれる。かといって、マークを離しすぎてもターンされ、ドリブルでも数十メーター運べるような選手も多い。
インテル・マイアミのFWメッシらのように欧州で活躍した選手だけでなく、中南米の好選手もそろうMLS。そのリーグで、山根は1年目の昨季、西地区の2位から年間王者を決めるMLSカップへと駒を進め、優勝を経験した。山根自身も公式戦41試合で6アシストをマークし、攻撃的なチームの一翼を担った。しかし2年目の今季は、ここまで西地区の最下位(15位)に低迷するチームの中で苦しんでいる。
「去年に関しては、リキ・プッチ(元バルセロナMF)がいたので、彼と関わりながら、チームとしてもたくさん点が取れて、攻め倒して勝っていくいいサイクルができた。でも今年は彼がいなくなって(負傷による長期離脱中)、誰が彼のやっていた部分を補っていくのかという部分で、少し苦しみながらやってきた。去年と同じようにやっているつもりでも結果が出てこないと、何かが足りないと負のサイクルに入っていく、みたいな部分があって。でも最近逆に、自分で何かをしなきゃいけないとか、シフトチェンジしてきて、ちょっと良くなってきたかなっていうのはあります」
周囲と関わりながらの効果的な攻撃参加を持ち味としてきた山根。ギャラクシーでの1年目も、リキプッチらとの関係性を生かして戦い抜いたが、チームとして苦しむ今季は、より個の部分にフォーカスしている。
「例えば今までは、能力ある選手を生かすためのポジションを取ったり、中継役みたいなポジション、チームをうまく回していくことが役割だった。そこから、より自分で回数を増やして、クロスを上げ切るとか、前の選手を生かすために動くんじゃなくて、自分が結果を残すために本気でそこに入っていく、みたいにシフトチェンジして、それがいいサイクルになってきているかなって感じています」
インタビュー直後の14日・シアトル戦では、ゴール前まで侵入してMLSでの初ゴールもマークした。今季も4アシストとSBとしては十分な数字を残しているが、米国に移籍後は日本代表から遠ざかっている。
「もちろん、毎回入りたい、と代表発表の時に思っています。ただ現状、今(不調の)チームでどうなのかっていうのは、冷静に判断をしています。今は自分自身の課題と向き合って、できないことが少しでもできるようになりたい、ということがモチベーション。(フィジカル的に)苦戦する相手に対して、どう正解を導き出していくのか。止める回数が増えれば、それが成長だと実感できるので」
米国で自らを高めることに集中している山根。後編では、米国で行われた日本代表のメキシコ、米国戦について、さらにW杯が行われる米国でプレーしているからこそわかる環境面についても語る。