◆JABA秋季神奈川県企業大会 最終日 日産自動車3―1東芝(8日・等々力)
今年から16年ぶりに野球部の活動を再開した日産自動車が、今季最後の公式戦で強豪企業チームに2連勝。激動のシーズンを締めくくった。
試合後の伊藤祐樹監督(53)は、たくましくなったナインを誇らしげに見つめた。1点を追う8回1死一、二塁のチャンス。7番の梅沢唯冬(いぶき・22)=中央学院大=が右越え三塁打を放ち、逆転。続く主将の石毛大地(24)=筑波大=が右中間二塁打で、この回3点を奪い取った。指揮官はしみじみと振り返った。
「頑張ればいいこともあるんだな…。苦しい展開でしたが、逆転して勝つというのは、なんだか強いチームの勝ち方のような気がしないでもない。だが我々はまだ都市対抗も日本選手権もクリアしていない。いい自信にしてこの冬、鍛え直して来年につなげていきたい」
茨城日産から移籍した石毛以外、21人は全て大卒ルーキー。指揮官自ら技術面だけでなく、野球に取り組む姿勢や意欲も重視して、スカウトした男たちだ。
再開1年目は苦戦が予想されたが、彼らの成長曲線は予想を遥かに超えていた。東芝は、都市対抗予選の準決勝と第2代表決定トーナメントで敗退した宿敵。今年最後の公式戦で堂々とリベンジした。
「たくさんの方々に応援いただいて、最後に神奈川の企業チームに勝つことができた。一冬越して、ブラッシュアップして、一回り二回り大きくなった日産自動車野球部を皆さんに見ていただきたい。そして、皆さんと一緒に東京ドームへ行く…それが率直な思いです」と伊藤監督。「本当にいいチームになったかなと思います」と手応えを口にし、来季の戦いへ闘志をたぎらせた。(加藤 弘士)