◆2025 JERA クライマックスシリーズ セ最終ステージ第1戦 阪神2―0DeNA(15日・甲子園

 攻めのタクトで、勢い十分に乗り込んできたハマ軍団を止めた。阪神がセ覇者の貫禄を示した。

接戦をものにし、CS最終ステージでは球団初の完封勝利。藤川監督は「チーム全員の力。ファンの方も含めて、すごくタイガースらしいゲームになった。集中力が非常に高いですから」とうなずいた。

 好投手・東に苦戦するなか、勝機を見いだしたのは6回だ。先頭の近本が快足を飛ばして遊撃内野安打をもぎとり、中野の三塁前犠打で1死二塁。ここで、勝負手が生まれた。続く森下の初球に4年連続盗塁王が仰天のスチール。左腕のモーションを完全に盗んで、三盗を決めた。指揮官は「よく分かりませんでした」とはぐらかしたが、事前の研究と準備のたまものであることは間違いない。そして、打席の3番打者が対東の好相性(今季6打数3安打)ぶりを発揮し、この日2本目の安打となる先制中前打。14日の練習前の円陣で名指しして、「荒々しく楽しもう!」といった主旨で伝えたメッセージに応える働きだった。

さらに、2死一、三塁となってから代走で途中出場の小野寺が右前適時打を放つなど、用兵術がはまった。

 先発のエース村上も5回2死三塁で打順が回り、代打を起用。毎回走者を背負い、4イニングで得点圏に置きながら無失点と粘投した右腕をたたえた。6回からは及川、NPB記録のシーズン50試合連続無失点の石井がともにイニングまたぎで8回まで零封。9回は守護神・岩崎が締めくくった。リーグ断トツの今季チーム防御率2・21の投手陣が相変わらずの鉄壁ぶりを見せつけた。

 CS最終S(第2S含む)で2勝0敗となったのは、リーグ12度目。昨年までは17年の広島を除いて、日本シリーズに進出しており、突破率91%だ。「まあ、1戦目ですから。あした以降につなげてやることに尽きますね」と藤川監督。「秋の大運動会」と例えた短期決戦で動きに動いて、有利に運ぶ白星をつかみ取った。(小松 真也)

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