巨人・岡本和真内野手がポスティングシステムによるメジャー移籍を目指すことが決まった。MLB担当キャップの安藤宏太記者が、今オフ移籍によるメリットや、市場価値を分析した。
岡本が海外FA権取得まで1年を残し、ポスティングシステムでメジャーに挑戦するメリットが大きい。
来オフにはロックアウト問題が浮上する。米大リーグ機構(MLB)と選手会の労使協定は26年12月1日が5年間の期限。新協定に向けて両者が交渉していくことになるが、サラリーキャップ(年俸総額)制度の導入やぜいたく税問題などを巡って難航が予想される。期限までに新協定が締結されなければ、ロックアウトに突入し、契約交渉などが中断される。
21年オフにポスティングで移籍を目指した鈴木誠也(現カブス)も影響を受けた一人だ。ロックアウト解除は22年3月10日。カ軍との契約発表は同18日で、キャンプでの練習は満足に行えず4月の開幕を迎えた。来オフの挑戦となれば契約の行方は不透明となる可能性が高く、移籍先が決まらぬ不安に加え、チームになじむ期間も減り、メジャー流の練習も十分にこなせないなどリスクが増える。
大型契約を結ぶには1歳でも若い方が評価は高くなる。巨人としても主砲流出は痛手だが、海外FAによるメジャー行きでは見返りがない一方、ポスティングならば契約金に応じた譲渡金が入るメリットがある。
今季本塁打王に輝いたローリー(マリナーズ)は60発で打率2割4分7厘、シュワバー(フィリーズ)が56発で2割4分と、MLBでは長打力が高く評価される傾向にあり、通算248発の岡本の評価は高い。
日本人野手が結んだ米1年目からの契約のトップ2は、22年3月に27歳だった鈴木が結んだカブスとの5年8500万ドル(約101億円=当時のレート)、22年12月に29歳だった吉田正尚がRソックスと締結した5年9000万ドル(約124億円=同)。日本での実績は2人に見劣らない。29歳の岡本も長打力や守備のユーティリティー性から、5年100億円規模の大型契約を勝ち取っても不思議ではない。(MLB担当キャップ・安藤 宏太)