プロ野球の発展に貢献した監督、選手に贈られる「第49回正力松太郎賞」の選考委員会が13日、都内で行われ、就任2年目でソフトバンクを5年ぶり12度目の日本一に導いた小久保裕紀監督(54)が初受賞した。また米大リーグのワールドシリーズで連覇を達成し、MVPにも輝いたドジャース・山本由伸投手(27)が特別賞に選ばれた。

小久保監督に賞金500万円とメダル、山本には賞金300万円とメダルが贈呈される。

 満場一致での受賞だった。日本一に輝いたソフトバンク・小久保監督の手腕が、選考委員会で絶賛された。開幕から主力の故障者が続出する中、若手を積極的に起用。4月の最下位から立て直した。阪神を下した日本シリーズでの采配も評価が高かった。座長であり、恩師のソフトバンク・王球団会長の「今年の小久保采配からは随分、いい勉強をさせてもらった」は、最高の褒め言葉となった。

 日本シリーズ後は休暇を取り、来季に向けて英気を養っている。「受賞させていただくことを、大変光栄に思います。今年こそは頂上まで登りきる、という思いでシーズンに入り、選手たちはそれぞれの役割を理解し、最後まで勝利を信じて戦い抜いてくれました。この賞は、福岡ソフトバンクホークスという組織全体の努力の結晶です(抜粋)」と球団を通じてのコメントでは、趣味の登山に例えながら喜んだ。

 昨季はリーグ制覇を果たしながら、日本シリーズでセ・リーグ3位のDeNAに敗れた。

「今年こそは」の表現に改めて、就任1年目の悔しさをにじませた。実は昨年の選考委でも小久保監督を推す声が強かったが、最終的にはDeNA・三浦監督が選ばれた。「これは2年越しの受賞ですね」と選考委員の門田氏。頂上決戦とともに正力賞の「リベンジ」にも成功した。

 来季はホークスが福岡移転後初、南海時代の66年以来となるリーグ3連覇が目標だ。「同じことをしていたら勝てない」と、すでにテーマには「壊す」を掲げている。変化を恐れない王イズムを胸に、さらなる進化を目指す。(島尾 浩一郎)

 ◆小久保 裕紀(こくぼ・ひろき)1971年10月8日、和歌山市生まれ。54歳。星林から青学大を経て1993年のドラフト2位(逆指名)でダイエー(現ソフトバンク)入団。95年本塁打王、97年打点王。2003年オフに巨人へトレード移籍。

07年からFAで古巣復帰。12年限りで現役引退。通算2057試合で2041安打、打率2割7分3厘、413本塁打、1304打点。13~17年は侍ジャパンの監督。21年にソフトバンク1軍ヘッドコーチ、22、23年の2軍監督を経て、24年から1軍監督。右投右打。

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