ドジャース大谷翔平投手(31)が13日(日本時間14日)、全米野球記者協会(BBWAA)が選出するナ・リーグの最優秀選手(MVP)に満票で選出された。3年連続、4度目の受賞はいずれもB・ボンズ(パイレーツ、ジャイアンツ)に次ぐ史上2位の快挙となった。

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 今季のナ・リーグMVP争いは、大谷と56本塁打&132打点で2冠王に輝いたフィリーズのK・シュワバー外野手(32)との一騎打ちが予想されたが、ふたを開けてみれば、投票した30人の記者は全員が1位票を大谷に投じた。これまで4度のMVPは全て満票。2度以上満票でMVPに輝いた選手はこれまでおらず、大谷の圧倒的な存在感がまたも証明された。

 大谷がシュワバーを上回った要因は、近年メジャーで重要視される「OPS」、「WAR」の2つの指標が大きかったといえる。強打者を表す「OPS」は「出塁率と長打率を足した数字」で、1・000を超えれば超一流。大谷がリーグトップの1・014で、シュワバーは2位ながら0・928と大きく開いた。

 さらに「どれだけの勝利数を上積みしたか」という貢献を数値化する「WAR」も大谷が圧倒。シュワバーは主にDHで守備の貢献度がほぼなく、一方で14登板で1勝ながら投手としての上積みがあった大谷が上回った。算出方法は複数あるが、データサイト「FanGraphs」で大谷は、9・4(投1・9、打7・5)の1位で、シュワバーは4・9で14位。「Baseball Reference」でも大谷が7・7(投1・1、打6・6)、シュワバーが4・7だった。ア・リーグのMVP争いも捕手で60発を放ったローリー(マリナーズ)をジャッジ(ヤンキース)がOPS、WARで上回ったことでハイレベルな戦いを制した。

 ただ、「満票」を後押ししているのは、数値には表れない唯一無二の“スター性”ではないか。

今年1月に発表された米国殿堂入りの際、イチロー氏は有効投票数394票のうち満票に1票足りなかった。どれだけ傑出した数字を残しても、「満票」は簡単ではない。投票者の内訳が公開されるMVPと、非公開だった殿堂の違いもあるとはいえ、大谷の価値はさらに高まった。(安藤 宏太)

 ◆WAR(Wins Above Replacement)とは メジャー最低レベルの選手と比較して、どれだけ勝利したかを示す指標。投手は投球、野手は打撃に加えて走塁や守備の貢献度も加味されるため、DHの選手は不利になる。

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