◆第56回明治神宮野球大会第5日▽大学の部・準決勝 立命大1―0名城大(18日・神宮)

 名城大(北陸・東海3連盟)は立命大(関西5連盟第2)に5安打完封負け。準優勝した1979年以来、46年ぶりの決勝進出はならなかった。

今季限りでの退任を表明している安江均監督(65)は最後の指揮を終え、ナインへの感謝を語り、涙を流した。

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 感極まった。熱い滴が指揮官の頬を伝った。ラストタクトは0-1で完封負け。グラウンドから一塁側の応援席を見上げると、控え部員たちから「ありがとうございました!」の声が上がった。指導者冥利に尽きる瞬間だった。

 「ここまで歩みを進めてくれた学生に心から感謝の気持ちでいっぱいです。0-1だったんで、うまくやれば勝てたんじゃないかと個人的に悔いが残り、申し訳なく思うところがあります。ただ1回戦とか、今日の試合もそうですが、毎日毎日コツコツとやってきたところが随所に出ました。次の代に向けて、糧として積み上げて、つなげていってもらいたいと思います」

 2016年に母校の監督就任。「学び」「礼節」「情熱」を基本とする「名城版人間力野球」を掲げ、指導に取り組んだ。ラストシーズンは全国4強。

確かな結果となって実を結んだ。

 「10年後、あっという間でしたが、毎日毎日積み重ねて葛藤して、いろんなものを投げかけて啓発して、反発も食らいながら毎日毎日やってきた。そんな思い出があります」

 9回1死二塁。立命大のエース左腕・有馬伽久(3年=愛工大名電)をマウンド上に引っ張り出した。負けはしたが、最後まで粘りの攻撃を続け、重圧を与えた。

 「みんなで基本を大事にして。毎日毎日積み重ねて、精進を重ねて。トライして、挑戦者の気持ちを忘れずにずっと頑張り続けることが必要だと思います。根気よくやってもらいたい。最後に名城大学の人間力野球『学び』『礼節』『情熱』がとても大事だと思う。これからも頑張ってもらいたいと思います」

 たくさんの思い出を胸に、指揮官が慣れ親しんだユニホームに別れを告げた。(加藤 弘士)

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