オリックス・森友哉捕手(30)が22日、親友に恩返しの大活躍を誓った。大阪市内で頓宮、香月、大阪桐蔭野球部時代の同期で現在は希少がんと闘う福森大翔さん(ひろと、30)と、センス・トラスト社主催のトークショーに参加。

同校吹奏楽部の演奏も背に受け「僕も(福森さんに)背中を押されっぱなしなので。もっと大翔に勇気を与えられる選手になりたい」と男の約束を交わした。

 6月15日の巨人戦(京セラD)で、捕手として始球式で福森さんのノーバウンド投球をミットに収め、マウンド上で抱擁。試合では2安打1打点の活躍を見せ、お立ち台で涙を流した。森にとって、福森さんはいつも「けがなく、健康第一にやってほしい」と励ましてくれる存在。「(自分にとって)必要ですよ。現役中にできることはいろんな形でやっていきたいし、大翔もこれからまだまだいろんなことをやると思うので、その手助けやサポートができたら」とうなずいた。

 「当たり前のように朝が来ると思わずに、日々を過ごしている。皆さんも『今』を大切に、すてきな時間を大切に生きていってほしい」(福森さん)。壇上で力強く訴えかけた親友の姿を目に焼き付け、森は決意を新たにした。故障に苦しみ、先発マスクが16試合にとどまった今季を受け止め「目標は高ければ高い方がいい」と来季の「3冠王」を宣言。「大翔も含め、自分自身にもやっぱりそう言い聞かせないと。

死に物狂いでやらないといけない。今度は僕が力になれるように頑張るだけ」と真っすぐに前を向いた。(南部 俊太)

 ◆福森 大翔(ふくもり・ひろと)1995年7月29日、大阪市生まれ。30歳。小学3年で野球を始め、中学時代は大阪都島ボーイズでプレー。大阪桐蔭3年時の2013年に外野手として春夏連続で甲子園に出場し、ともに16強入り。夏は2回戦・日川(山梨)戦でサヨナラ打を放った。甲子園通算19打数9安打3打点。立命大を卒業後はハウスメーカーに入社したが、21年に2つの希少がんが発覚。24年には複数箇所への転移が見つかり、現在は完全寛解を目指し闘病する日々を過ごす。右投右打。

 ◇希少がんとは 人口10万人あたりの罹患(りかん)数が6例未満と、他のがんと比べて発生頻度が少ない悪性腫瘍の総称。

「消化管間質腫瘍」や、胸部などにある傍神経節から発生する「パラガングリオーマ」など、約200種類もの悪性腫瘍が該当する。それぞれの発生数が少ないがゆえに、治療法が確立されていないことが課題である。

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