◆第70回有馬記念・G1(12月28日、中山競馬場・芝2500メートル)

 JRA殿堂入り調教師で今春、定年引退した音無秀孝さん(71)が有馬記念の予想で本紙に初登場。G1・14勝の名伯楽は、レガレイラが中心とみた。

 3月4日に引退して、9か月余り。6月には光栄にも顕彰者に選ばれました。一報をもらった瞬間は本当にうれしかった。ただ、私が偉いわけじゃなく、牧場や馬主さん、スタッフのおかげです。私が自分でしたのは同じような成績で顕彰者になった調教師の先輩、橋口弘次郎さんを目標にいろいろと真似をさせてもらったぐらい。橋口先生のように日本ダービーは取れなかったですけどね(笑)。

 有馬記念はファン投票もある夢を買うレース。有馬記念と日本ダービーは雰囲気が違います。騎手時代には1983年に1度、ミスラディカルで出ましたが、3コーナーで外から寄られ、行き場をなくしたんです。立て直して、直線に向いた時は手遅れでした。8着でしたが、スムーズなら5着以上はあったはず。乗り役には非常に難しい舞台です。

 調教師では、のべ13頭が出走。ともにリンカーンで2着と3着が1度ずつあります。ただ、03年の2着は勝ったシンボリクリスエスと9馬身差で、惜しいなんて思えない。05年はハーツクライ、ディープインパクトに続く3着。あれはハーツのルメール騎手の手綱さばきにやられたレースです。とにかく、乗り役の腕が本当に大事なんです。

 今年はそのルメール騎手が騎乗するレガレイラが中心です。自由自在に運べる強みはこの舞台で生きますし、牝馬は牡馬より2キロ軽い斤量で走れますからね。鞍上の手腕込みで期待したいですね。

 相手ではシンエンペラーが気になります。今年の競馬で最も興奮したのがフォーエバーヤングのブリーダーズCクラシック。私も23年のデルマソトガケで2着でしたが、今年は歴史が変わりましたね。

その矢作さんが大一番へどこまで状態を上げるか。先行馬では特に巧みな坂井騎手の騎乗にも注目です。

 あとは距離が長いと思いますが、中山巧者のミュージアムマイル、中長距離の大レースでは特に強い友道厩舎のアドマイヤテラも挙げておきます。(JRA殿堂入り調教師)

 ◆音無 秀孝(おとなし・ひでたか) 1954年6月10日、宮崎県生まれ。71歳。1979年に騎手デビューし、93年の引退までにG1・1勝を含む通算84勝。95年に厩舎を開業し、同年の北九州記念(イナズマタカオー)で初勝利を重賞初制覇でマーク。G1・14勝を含むJRA通算996勝を挙げ、今年3月4日に定年引退。同6月に史上12人目の顕彰者に選出された。

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