WBC日本代表の阪神・佐藤輝明内野手(26)と阪神・掛布雅之OB会長(70)=スポーツ報知評論家=の新旧キング対談が、このほどキャンプ地の沖縄・宜野座で実現した。昨季、球団の生え抜き選手では1984年の掛布氏以来、41年ぶりの本塁打王に輝いた輝が進化の理由、WBCへの思いなどをミスター・タイガースに激白した。

(取材・構成 島尾浩一郎、中野雄太)=前編=

―守備について

掛布(以下、掛)「去年は本塁打、打点の2冠王でリーグMVPの素晴らしいシーズンでした。でも私が一番変化したのは守り【※1】だと思っている。すごくいいリズムで1年間守れたのが大きかったと思うけど、何かきっかけはあったの?」

佐藤輝(以下、輝)「きっかけは、ドジャースと3月に試合【※2】をした時にずっと練習を見ていて、(メジャーの選手の)捕り方が(グラブを)引いて捕るんじゃなくて出して捕るというか、前にいく感じで捕っていたので、試しにやってみて、それが良くなったきっかけですね」

掛「吉田義男さん式だよね。メジャーの選手はあまり引かない。体の前で野球をやる。それが大きなヒントになったんですね」

輝「引きすぎる癖が(左右)全部あって。出して捕ると、その流れのままで足を使って行ける。引いたら1回止まる感じがしたので。半分以上は送球エラーだったので、そこが、良くなったかなと思います」

掛「動きの流れの中で投げられるからね。引くと、ボールに攻め込まれるから。これは素晴らしい」

―打撃の進化について

掛「打撃フォームは年々、引き算するようにシンプルになってきたように思う。一番変わったのは、入団当初よりトップの構えの位置が低くなりましたよね。

高く構えた方が(バットとボールとの)距離が取れるから強くたたけると思うんだけど、その分、ぶれる」

輝「そうですね。どうしても手で振ってしまう癖があった。当たった時はいいですけど、振り始めたら止まらないみたいな。振ってしまう、ボール球でも手が出てしまうというところがあった。今はできるだけ体の回転で(スイングを)始めて、最後に手。それをイメージしてたら自然と(トップの位置が)下がってきて」

掛「それと(踏み出す)右足の使い方がすごくシンプルになったきた」

輝「去年からは本当に右足を軸という感じで打っていたので、シンプルに見えるというのはそういうところです」

掛「入団当初は軸足に残す感じで左肩が下がり気味に振っていた」

輝「今はしっかり(体重が)前(右足)に乗ってから下(半身)から回る(イメージ)」

掛「だから手が遅れてくるので、高めのボール球も比較的止まるようになった」

輝「だんだん良くなっているかなと思います」

掛「打ち損じも少なくなってきている」

輝「そうですね。スイングの強さも意識が変わってきて、飛ばすというよりもちゃんと捉えるというふうにシフトしてきて」

掛「力いっぱい振らなくなってきたよね」

輝「打撃練習とかでも1年目とかは振り回していました。どこまで飛ばせるかみたいな。だんだん、しっかり捉えれば飛ぶというふうに変わっていきました」

掛「例えばドジャースの大谷選手の右足なんてノーステップで行く。すごい小さい動きの中で反応しているけど、そういう小さい動きでもあれだけ飛ばせるんというのは参考になっている?」

輝「そうですね。やっぱり体重移動を大きくしなくてもちゃんと回転すれば、力が伝って飛ばせるという。そこは大いにヒントを得ています」

掛「去年からセンターからやや左の方向へのバットの角度というのをすごく意識していない?」

輝「そうですね。

意識しているというより打ち方が変わって、だんだんそっちにいい打球が飛ぶようになりましたね」

掛「なっているよね。かえってライトよりもセンター方向への打球の方がいい打球が飛んでいる」

輝「やっぱり内(角)に来れば引っ張るんですけど、真ん中から外よりはバックスクリーンから左に打ちたいですね」

掛「我々の大先輩の王貞治さんが日記に記していたのが、常にセンターバックスクリーンへのホームランを意識する、と。王さんの場合は引っ張り専門だったけど、意識はセンター。佐藤の場合もセンターを意識しながらで、ライトに打つ時は払うようなイメージ?」

輝「どっちかというとそうですね。前までは体の中(へその前)で打つというのを意識していて、結構引っ張る打球が多かったんですけど。今はもうちょっと体を回してここ(バットを体の左側に残して)で打つイメージなので」

掛「イチローも最後まで(グリップが後ろに残って)出ない。そういう感覚なんですね」

輝「だからセンターにいい打球が飛ぶようになりました」

掛「甲子園だとあの方向にいい打球を打たないと40発は打てない」

輝「そうですね。やっぱりちゃんと捉えないとダメなので」

掛「四球と三振のバランス【※3】が良くなれば、3冠王も取れると思う」

輝「そうですね。もうちょっと四球を増やしたいですね」

掛「私が初めて40本以上となる48発を打った時(79年)に死球は0だったんだよ」

輝「あ、そうだったんですね。へ~」

掛「佐藤も0だったけど、今年は下半身を崩してくる低めのスライダーなどで結構攻められるんじゃないかなという不安がある。そのあたりの見極めができると、多分3つのタイトルを取れると思う」

輝「なかなかね、壁は高いですけど、頑張りたいです」

【※1】24年はリーグ最多23失策だったが、25年は6失策に激減

【※2】25年3月15日にカブス、同16日にドジャースと東京ドームでプレシーズンゲームを行った

【※3】25年は57四球で163三振。1年目の21年は25四球で173三振

編集部おすすめ