3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンは24日、宮崎での強化合宿を打ち上げた。最終日にはロッキーズの菅野智之投手(36)が合流後初のライブBP(実戦形式の打撃練習)に登板。

侍の全3捕手にメジャー仕様の「NEW菅野」を披露し、登板が有力な3月8日の1次ラウンド第3戦・オーストラリア戦(東京D)へ上々の仕上がりを見せた。井端弘和監督(50)も「変幻自在」と目を細める投球。チームは午後、名古屋に移動。27、28日にバンテリンDで中日との壮行試合に臨む。

 思いのままにボールを動かした。メジャーの猛者との戦いで進化を遂げた、新しい菅野の姿があった。侍合流後、初の実戦登板。遊撃付近からは井端監督が、ネット裏からはダルビッシュらが見守る中、半袖姿で力強く右腕を振った。直球の最速は150キロ。面白いようにスプリットを落とし、ツーシームを自在に操る。サポート侍の打者のべ9人に、3回を計37球でヒット性は3本。貫禄のマウンドを終えると、客席から拍手がわき上がった。

 「日本で投げていたイメージと違う投手になっていると、僕は思っている。真っすぐとスライダーのイメージが強いと思うんですが、去年の投球の約3割はスプリット。フォーシームよりもツーシームの方がたぶん多い。球種の割合を見ても、日本にいた時とまるで違う投手になっていると自分でも自覚してます」

 連覇へカギを握るのは扇の要。村田善則バッテリーコーチの発案で、3回を全て別の捕手が受けた。中村、若月、坂本と組み、投球後は意見交換した。中村は「米国に行く前は、真っすぐと曲がり球で牛耳られているイメージがあった。いろんな球を動かし、打者のタイミングを外しながら投げていた。スタイルが変わった」と変化を実感。若月も「制球がいいし、全ての球種が一級品。左打者の外角高めにカットボールを使うのは、なかなかない」と舌を巻いた。

 22日に宮崎で合流。

23日にはダルビッシュと1時間超、野球論に没頭した。投手道を極める者同士、意気投合した。

 菅野は言った。

 「僕の財産になりました。小さい頃から憧れてましたし、メジャーの第一線で長く活躍している方。今回聞きたいことも全部携帯にメモして入ったので、技術面の話もしましたし、改めて今後の野球人生のビジョンが明確になりました。今後の道筋を良い方向に正してくれた。言葉にできないくらい忘れられない時間。探求心の塊だと思います」

 そのダルビッシュは菅野の投球を「全球同じような感じでリリースしていた。やっぱりいい投手」と称賛し、井端監督も「期待しかない。変幻自在。僕が一緒にやっていた頃から10年たち、メジャーで2ケタ勝って、投球術も配球も進化している」とうなった。

 侍の先発陣の一角として、強烈に示した存在感。だが、まだまだ完成形ではない。「確実に上がっていくと思う。やっと始まると、気持ちが引き締まっている」と菅野。その瞳には、世界一しか見えていない。(加藤 弘士)

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