馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はメイショウマンボが勝った2013年の報知杯フィリーズレビューを取り上げる。

3歳牝馬二冠に輝くなど怒とうの快進撃を見せた1年はここから始まった。

 ラスト1ハロン手前。馬群の中で徐々に位置取りを上げていたメイショウマンボの視界が、ようやく開けた。その瞬間を川田は逃さない。右ステッキで気合をつけ、激しく手綱を押して加速させる。馬群をこじ開けるように抜け出すと、脚いろは力強さを増すばかり。優先出走権を目指して内で繰り広げられる叩き合いを横目で見ながら、一頭だけ違う勢いで外から突き抜ける。1馬身1/4差の完勝だった。

 「いい時に乗せていただきました」。最高の結果を引き出した川田が胸をなでおろした。騎乗停止中の武幸の“代打”。主戦からスピードが持続するタイプと聞いて、4コーナー手前から早めにGOサインを出すことで長くいい脚を引き出した。

「トライアルとして、いい勝ち方。上手に走ってくれました」と初めてコンビを組んだパートナーの頑張りをたたえた。

 「アヤメの血だね」。飯田明調教師は懐かしそうな表情を浮かべた。報知杯4歳牝馬特別として行われていた1998年。メイショウマンボの祖母、メイショウアヤメは2着に敗れていた。あれから15年。その孫が忘れ物を届けてくれた。「この血統で頑張ってくれた。アヤメの血がここまで生きているね」。積年の思いが詰まった血のドラマがようやく結実した。

 続く桜花賞では10着に敗れたものの、距離を延ばしたオークスと秋華賞で牝馬二冠を達成。

特に主戦の武幸が桜花賞の夜にクラシックへの追加登録を松本オーナーに直訴し、レース後に二人で涙を流したオークスの快勝はファンの胸に響いた。同年には初の古馬相手だったエリザベス女王杯も完勝。同年の最優秀3歳牝馬に輝いた。

 古馬となってからは苦戦が続き、2017年に現役を引退。その後は生まれ故郷の高昭牧場で繁殖生活を送っていたが、昨年4月9日にホッコータルマエ産駒の牡馬を出産後、天国へと旅立った。また、この血を絶やさずに紡いできた「メイショウ」の松本好雄オーナーも8月29日に87歳でこの世を去っている。

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