◆WBC強化試合 阪神4―5日本(3日・京セラドーム大阪)

 豪快なアーチで主役を張った。初回2死。

鈴木誠也外野手(31)はカウント2―1から伊藤将が投じた外角141キロ直球を思いきりよく引っ張った。高々と舞い上がった白球は左翼5階席へ消えた。侍合流後初安打が、先制の決勝ソロ。「チームに勢いをつけることができて良かった」。速報アプリ「NPB+」によると飛距離130・8メートルの圧巻の一発。昨季、メジャーで32発を放った男がすごみを証明した。

 改良した新パフォーマンスの“第1号”になった。悠然と二塁ベース通過後に同じ動きを見せて喜びを共有した。新ポーズを同学年の大谷よりも一足先にお披露目。「一本出ないと使えないので、いい結果を出せて良かったです」。ベンチに戻ると大谷と顔の前で右手を振り合いながら笑い合った。

 その大谷と若手の“橋渡し役”としての役割も果たしている。

二刀流として活躍するスターにナインは恐縮気味になることも少なくない。同い年の大谷をイジることができる貴重な存在の鈴木は、1日の決起集会でチームメートに呼びかけていた。「最初は大谷様にみんな緊張してなかなか話せなかったけど、『同じ人間だよ』と伝えて、いい雰囲気になった」。鈴木流のユーモアで後輩の緊張を解きほぐした。チームの空気は変わった。「すごくいい大会になると思う」と結束の高まりを感じ取っている。

 ヒーローインタビューの最後は大谷をイジりながらファンにあえて“注文”をつけた。「まだまだ声援が小さくてちょっと寂しかった。もっともっと盛り上げて」。大谷が前回23年大会の直前の強化試合で「まだまだ声援が足りないので、もっともっと大きい声援を」と、呼びかけたことをモチーフに連覇へ験担ぎした。前回23年WBCでは代表に選出されるも、左脇腹の負傷で無念の辞退。今大会にかける思いは人一倍強い。

守っては外野の司令塔、打っては中軸。攻守の中心として連覇へ導く準備は整った。(宮内 孝太)

 ◆記録メモ 鈴木(カブス)が初回に先制本塁打。21年8月2日の東京五輪、米国戦以来5年ぶりの日本代表での本塁打となった。鈴木は16年11月13日の強化試合、オランダ戦から侍のユニホームを着て通算9本塁打。通算9発はほかに山田哲人(ヤクルト)、中田翔(当時日本ハム)がいる。

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