◆WBC 1次ラウンドC組 台湾0―13日本=7回コールド=(6日・東京ドーム)

 初回からエンジン全開だった。両軍無得点の初回。

ドジャース・山本由伸投手(27)は2死から思い切り腕を振った158キロで三ゴロに打ち取り、3者凡退の好発進を切った。MLB公式サイトによると98・5マイル(約158・5キロ)で、24年のメジャー移籍以降では最速だった。球数制限は65球も、今後を考慮してか3回途中無安打無失点2奪三振、53球で降板したが勝利投手。計5投手の1安打完封リレーに導き「勝てたことをすごくうれしく思います。試合前(ブルペン)からスピードが出ていた。初回は丁寧に、いい入りができた」とホッとしていた。

 2回表は10得点の猛攻。2回のマウンドに立つまで約30分かかり、先頭に四球も無失点で切り抜けた。13点リードの3回は味方の失策に2四球が重なり、2死満塁とし降板。イニング途中でマウンドを降りたとあって「細かいことを言えば反省はたくさんある」。試合後には照れた大谷に背中を押され、ナインの列から一歩前に出てファンへのあいさつで笑顔で頭を下げた。

 昨季は米2年目で初めて1年間を完走。

ワールドシリーズ(WS)では連投も経験し、MVPにも輝いた。「すごく成長を感じました」。常に高みを目指し、愚直に野球と向き合う右腕が珍しく自身を褒めた。ウェートトレを行わない独自のトレーニング、独特のフォーム…。時に雑音も耳に入ったが、昨季のWSで中1日での登板準備、96球を投げた翌日の登板をこなしたことで、自信は深まった。疲労を考慮し、すぐにWBC出場の決断を下すことはできなかったが、昨年12月頃からトレーニングを再開。状態に問題がなかったからこそ、日の丸を背負わない選択肢はなかった。

 19年プレミア12、21年東京五輪、23年WBCで優勝を経験。21~23年にオリックスでリーグ3連覇、24、25年にドジャースでWS2連覇を果たした優勝請負人。次回はメジャーのスター選手もそろえるドミニカ共和国、ベネズエラと対戦の可能性がある準々決勝での登板が予想される。心待ちにしていたオリックス時代の女房役・若月とのコンビも「久しぶりですごくうれしかったし、その試合がWBCでさらにうれしく感じた」と、呼吸もばっちり。日本のエースから世界のエースに成長した右腕が、開幕投手としての役割を十分に果たして勢いをもたらした。

(安藤 宏太)

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