◆WBC 1次ラウンドC組 日本4―3オーストラリア(8日・東京ドーム)

 己の真価を誇示するように、ロッキーズ・菅野智之投手(36)はスコアボードに「0」を刻み続けた。「天覧試合」で4回4安打無失点。

「これまで東京ドームでたくさん投げてきましたが、味わったことのないような雰囲気を若干感じました。その中で投げられる喜びの方が強かった。若月がいいリードをしてくれた」と緊張感も持ちつつ好結果を残す50球だった。

 前回出場の17年と同じ、3月8日・オーストラリア戦(東京D)での初登板。2死一、三塁でデールを遊ゴロに斬った初回は最速150キロの速球にカットボールやスライダー中心だったが、2回以降はメジャーでの投球のようにツーシームとスプリットを軸に相手を斬った。3回は1死一塁で三ゴロ併殺に封じ右拳を握ると、4回は1死二塁から後続を断った。井端監督に登板日を告げられてから「東京ドームで投げられるなと一日一日をかみ締めて今日を迎えました」。巨人時代の24年10月21日以来503日ぶりの東京Dで要所を締めた。

 「初めての野球観戦かもしれない」というのも東京Dだった。95年10月8日、伯父でもある原辰徳氏の引退試合。当時5歳で、大観衆の中でスタンドから目にした光景は、菅野の脳裏に今でも焼き付いている。「小さい頃はその試合しか覚えていない。

その日は原さんのために集まったお客さんがほとんどだと思う。1人の野球選手のためにこれだけのお客さんが集まるって本当にすごいことだなと」。自身も巨人でさまざまな功績を残してきたが、「天覧試合」での先発も巡り合わせ。特別な試合で、東京Dに新たな歴史を刻んだ。

 昨年中に侍入りのオファーを出していた井端監督は「初回からあれだけ声を出して投げる菅野投手は初めて見た。それだけ気合も入っていたと思いますし、すごく頼もしく見えた」と称賛した。チームは1次R1位通過が決定。「任された場所で今日みたいな投球をしたいです」。米国でも全力を注ぎ、何としても世界の頂に立つ。(田中 哲)

 〇…岡本は試合前の円陣で声出しを担当し、巨人時代の先輩・菅野をイジった。「菅野先輩めちゃくちゃ緊張していたんで、今日は早めに援護を皆さんで、僕らでできるようにやっていきましょう!」と盛り上げた。試合後の会見で菅野は「(試合前に)トイレで会った時に『緊張してますか?』って言われて、さすがにちょっとするよ」と返答したことを明かし、コメントが“誇張”されていたと主張。

「あいつは緊張感がなくて打てていないので、後でカツを入れておきます」と笑わせた。

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