◆第74回阪神大賞典・G2(3月22日、阪神競馬場・芝3000メートル、1着馬に天皇賞・春の優先出走権)

 距離が延びれば延びるほど、より輝きは増していく。武豊騎手は阪神大賞典で他を圧倒する8勝。

「強い馬に乗っているからね」と名馬たちとの記憶を思い出しつつ、こう冷静に分析した。「1分のレースと3分のレースでは全然違うからね、ペースが。長距離になればなるほど、(ペースの)幅が広くなる。その中で色々と動けるチャンスがあるからね」。正確無比な体内時計と豊富な経験を生かした手綱さばきで、多くの勝利を積み重ねてきた。

 今年のパートナーはアドマイヤテラ(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎、父レイデオロ)だ。自らの手を離れた昨秋はジャパンCでのカラ馬での先頭ゴールで話題を集めたが、成績は今ひとつ。しかし、高い資質は感じている。昨春の大阪―ハンブルクCを勝った後。「カドラン賞やな」とフランスの芝4000メートルで行われるマラソンG1の名前を挙げた。「いや、本当に行きたいぐらい。(それぐらいのスタミナが)ありそうやね」。

昨春の目黒記念V以来のコンタクトで距離延長。復活へ導く手応えはある。

 心強い援軍が背中を押す。友道厩舎はこのレースで最多タイの3勝。3000メートル以上の平地重賞は現役最多の8勝を挙げる。そのひとつで武豊騎手とのG1初勝利だったワールドプレミアの19年菊花賞直後、友道調教師は「ジョッキーがうまいわ」と笑顔でつぶやいた。「ガチッとハミをかけるわけでもなく、乗り方もロスがない」と長丁場で寄せる信頼は厚い。

 天皇賞・春(5月3日、京都)への始動戦。1か月前に栗東に帰厩し、乗り込み量は十分だ。「日経賞は(本番と)舞台が全然違うし、タフだけど、天皇賞には、ここからという感じになりますね」。王道からの始動を決断した友道師は笑顔でこう付け加えた。「今年の武豊の初重賞になってくれれば」。

デビューから40年連続重賞制覇を狙うレジェンド×長距離の名門厩舎。勝ち方を知り尽くすコンビに似合う結末は一つしかない。(山本 武志)

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