高校野球◇春季静岡県大会予選第3日 富士1-0桐陽(28日・愛鷹球場)

 代表決定戦26試合が行われた。富士が昨春の県準V校の桐陽を1―0で下し、6年連続の県切符をつかんだ。

左腕エース・渡辺伸哉(3年)が2安打で公式戦初完封。8回にスクイズでつかんだ1点を守り、4月から韮山に異動する稲木恵介監督(46)に“惜別の白星”を贈った。29日は敗者復活戦13試合が行われ、県大会に出場する39校が出そろう。

 目に涙をためながら指揮官が、教え子たちのプレーをたたえた。昨春の県準V校で、昨秋も県8強の桐陽を撃破した富士・稲木監督が「ベストゲーム!」と、声を震わせた。渡辺伸が2安打完封。8回の1点を全員で守り切って県大会進出を決めた粘りの1勝に、感無量の様子だった。

 2021年に三島南を率いてセンバツ出場した稲木監督は22年から富士に赴任。その年の12月にはイチロー氏(52)=マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が指導に訪れている。指揮官は4月からの異動が決まっているため、この日か、29日の敗者復活戦が同校での采配は最後。負ければ1日長くともに戦うことができるが、試合前「きょうで決めようぜ」と選手を激励した。

 エースが期待に応えた。

渡辺伸が打たせて取る投球で公式戦初完封。「調子が悪くても、見守ってくれた。恩を返したかった」。制球難に苦しむ時期もあったが、下半身の動きを指導されて克服。顔面付近の球を倒れ込みながらスクイズで決勝点をたたき出した3番・伊藤充希(3年)は「飛球だけ気をつけた。気持ちです」と胸を張った。まさに、チーム一丸で監督に勝利をプレゼントした。

 試合後は桜の下で記念撮影。県大会決定を一緒に喜んだ。昨年は県16強入りで24年ぶり夏のシードを獲得。「今年は2年連続シードが目標」と渡辺伸は春16強以上をノルマに設定した。「監督にはいつまでも成長を見ていて欲しい」。

敵同士で相まみえる時までに、富士ナインがさらなる進化を遂げる。(塩沢 武士)

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