馬トク報知で過去の名勝負を当時の記事から振り返る【競走伝】。今回はファビラスラフインが勝った1996年のニュージーランドトロフィー(当時のレース名はニュージーランドトロフィー4歳S)を取り上げる。

NHKマイルCトライアルとなった初年度に勝った快速牝馬の重賞初制覇だった。

 東京の長い直線でも馬体を並ぶことすら許さなかった。ファビラスラフインは発馬直後に先手を奪うと、直線入り口でも追い出しを待つ余裕があるほど。脚がたまっているぶん、GOサインを出してからの伸び脚も力強い。馬場の真ん中を通りつつ、後続をさらに突き放し、内から差を詰める2着のエイシンガイモンに1馬身4分の3差をつけた。

 「スピードはずば抜けているし、道悪で控えて、揉まれるよりは、馬任せで先行してくれと指示した」と長浜調教師。そのオーダー通りの競馬を完遂した藤田は「ぼくはつかまっていただけ」と振り返るほどの完勝だった。

 ダートの新馬で7馬身、さわらび賞で5馬身差をつけていたフランス生まれの女傑。しかし、このレース後のNHKマイルCでは1番人気に推されながらも、前半1000メートルが56秒7の激流に巻き込まれ、14着とまさかの大敗を喫した。

 しかし、真価を発揮したのは秋になってから。春以来のぶっつけとなった秋華賞で圧倒的1番人気だったエアグルーヴらを寄せ付けずにG1初制覇を果たすと、凱旋門賞馬エリシオやバブルガムフェローなど、強敵がひしめくジャパンCでもシングスピールに鼻差2着。あのエアグルーヴと同じ世代ながらも最優秀4歳牝馬に選出された。

 この年の有馬記念(10着)を最後に現役引退。母としてもギュスターヴクライ(12年阪神大賞典を勝利)などを送り出し、その血を後生につないでいる。

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