中日の根尾昂投手(25)が、待望のプロ初勝利を手にした。同点の延長10回に6番手で登板。

最後は大阪桐蔭の後輩・松尾をフルカウントから、136キロのスライダーで空振り三振に封じた。直後の延長11回にチームが2点を勝ち越し、白星が舞い込んだ。プロ8年目で、22年シーズン途中に投手転向してから5年目。「みんなが(白星を)つけてくれて、最高な気分。支えてくださった方に感謝したい」と頬を緩めた。記念球は、一番感謝を伝えたい両親に贈る。

 「自分が納得するまで練習する」。野球に取り組む根尾の姿勢に、周囲は口をそろえる。投手登録になって初めてキャンプを迎えた23年は、1軍で2登板のみ。制球に苦しんだ時は、投球フォームや握り方を試行錯誤しながら、ひたすらネットに向かってボールを投げ続けた。その様子を見ていた浅尾投手コーチは「500球とかいってたんじゃないのかな…」と懐古した。

 野手として入団した1年目は、寮長に「室内練習場の鍵を貸してください」と頼み、誰もいない夜中にバットを振り込んでいた。

壁にぶつかった時こそ、自分と向き合い続ける根性と、貪欲さが、うれしい初勝利を呼び寄せた。

 二刀流に、先発―。プロで生き抜く道を試行錯誤してきた。中継ぎでやっていく決意をした瞬間があった。先発調整をしていた22~23年は、ブルペン後に“あえて”打撃練習を行った。「先発は投げながら、打席に入るので」。実戦を想定した根尾らしい練習だった。だが、その“ルーチン”を25年からやめた。投球に専念し、中継ぎでやっていく覚悟を決めた。

 好投が呼び込んだ勝利で、チームの連敗は3で止まった。井上監督は「あいつ(根尾)は今年“持ってる”と思うから、自信にしてほしいね。こういうゲームをとれたのは大きい」と、1勝の喜びをかみしめた。

 大阪桐蔭では、チームの甲子園春夏連覇に貢献した4球団競合右腕。「結果がすべて。1年を通して、1軍で投げられるように」。背水の8年目、強い思いを胸に、根尾が再び輝きを取り戻す。(森下 知玲)

 ◆根尾 昂(ねお・あきら)2000年4月19日、岐阜・飛弾市生まれ。25歳。大阪桐蔭では野手兼任ながら17、18年のセンバツ胴上げ投手に。18年夏は主に遊撃手として3本塁打を放って春夏連覇に貢献。4球団競合の末、18年ドラフト1位で中日入団。3年間は遊撃を中心とした内野手で、22年に外野手登録。同年5月21日の広島戦(マツダ)でプロ初登板し、6月21日に投手登録。177センチ、85キロ。

右投左打。

 ◆18年春夏に全国制覇した大阪桐蔭「最強世代」 中日・根尾とともにロッテ・藤原、巨人・横川、元日本ハム・柿木を中心に甲子園に4度出場。プロ入り後は19年に藤原が球団の高卒新人で54年ぶりの開幕スタメンでプロ初安打。23年に横川が5年目、通算8登板目でプロ初勝利を挙げた。柿木は24年オフに日本ハムを戦力外となり、現役引退した。

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