プロボクシングのWBC世界バンタム級王者・井上拓真と同級1位の那須川天心が、9月27日にトヨタアリーナ東京で再戦することが23日、発表された。両者は先着120人のファンが集まった東京・歌舞伎町の新宿シネシティ広場で、公開記者会見に臨んだ。

307日ぶりの再戦へ、天心は「普通の勝ち方じゃダメ。しっかりKOする」とKOでのリベンジを誓った。2度目の防衛戦に臨む拓真は「返り討ちにしようと思う」と自信をみなぎらせた。

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 猛暑の歌舞伎町で夜に行われた異例の野外公開会見。天心は高級車BMW7シリーズの後部座席から「季節に左右されない男なので。ファッションは我慢です」と黒の革ジャン姿で登場。ファンとハイタッチしながらブルーカーペットを練り歩き、ステージへと向かった。

 昨年11月24日の王座決定戦(トヨタアリーナ東京)で拓真に判定負け。キック時代を含めて格闘技キャリア55戦目にして初めての黒星だった。「初めて負けて。預けたものはかなりデカい。しっかり利子をつけて持ち帰りたい。

絶対にKOします」と雪辱への執念を言葉に込めた。

 再戦の副題は「これで最後だ」と銘打たれた。「(ボクシングキャリアが)最後というわけではないですよ」と“負けたら即引退”ではないと強調したが「ここで負けるようじゃ希望も持てない。2回も同じ相手に負けたら応援の仕方も分からなくなる。エンタメ路線に走らなきゃいけない選手になってしまう。実力でここまで来てるんだぞ、というところを見せたい」と背水の覚悟をにじませた。

 あふれる闘争心は、会見の運営にも向けられた。会見冒頭のVTRで再戦が発表された後、トークイベントを挟んで約30分後に選手が登壇した進行に「みんなの前で発表したかったし、グダグダじゃないですか。俺は本気でやるんだから、ガチでやってくれよと思う」と不満を爆発させた。

 拓真とは会見中、一度も視線を合わせなかった。「別に話すこともないし、しっかり拳で語るしかない。13ラウンドから始まります」。

第2戦のゴングは、すでに鳴っている。「俺が勝たないと、やっぱりボクシング界は盛り上がりがあんまりないと思うんで、しっかり勝って、みんなに話題と笑いをたくさん提供していきたいなと思っております」。真夏の歌舞伎町の喧噪(けんそう)の中で、天心の言葉は異様な熱を帯びていた。307日分の思いを拳に込め、再戦の舞台に上がる。(勝田 成紀)

 〇…拓真に敗れた天心は、今年4月11日の再起戦でWBC世界同級挑戦者決定戦に臨み、元世界2階級制覇王者のフアンフランシスコ・エストラダ(メキシコ)を9回終了TKOで下して王座挑戦権を獲得した。ネット上には早期の世界再挑戦を疑問視する声も一部であがっているが、「自分で勝ち取った挑戦権なんで、何も言われる筋合いはない。それを言ってるヤツは、自分でバカですと自己紹介しているようなもの」と一蹴した。

 ◆WBC世界バンタム級王座決定戦12回戦(2025年11月24日、トヨタアリーナ東京)〇同級2位・井上拓真(判定)同級1位那須川天心● 天心は初回終了間際に左オーバーハンドをヒット。2回も天心が左ショートアッパーからの右フックなどでポイントを重ねた。3、4回、拓真が先制攻撃を仕掛け主導権を握り返し、4回終了時の公開採点は3者とも38―38のイーブン。5回以降、拓真は距離を詰めさらに攻勢を強め、11回には右ショートアッパーを連打。最終回に天心も猛攻を仕掛けたが、拓真も冷静に迎撃した。

ジャッジの採点は2者が116―112、1者が117―111で3者とも拓真を支持した。

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