14年4月から17年9月まで東京本紙担当を務めるなど、02年10月から美浦トレセンで取材してきた牧野博光記者が柴田善臣騎手を「見た」。

 柴田善臣騎手は「先生」の愛称で後輩から親しまれてきた。

数多くの騎乗依頼をしてきた二ノ宮敬宇元調教師が「馬を壊さない騎手」と信頼していたように、馬を怒らず優しく接してきた姿勢が愛称につながっている。

 レース中に若手から不利を受けると声を荒らげる騎手もいるなか、「こういう時はこう対処したらいいんだよ」など逆にアドバイスするのが善臣流。怒りを見せず親身になって指導する姿から、いつの間にか「先生」の呼び名が定着した。

 14年には安田記念をジャスタウェイで制覇した。激しい競り合いとなったゴール前で、三浦(皇成)騎手から接触の妨害があった際も負の感情を出すどころか、「あんなことしなかったら向こうが勝ってたのにな」と相手をあわれんでいたほど。どんな時でも怒らないのが先生のスタイルだ。

 競馬サークルで「先生」と言えば調教師を指す。14年夏に食事した際、調教師の道を進む選択肢があるか尋ねた。「ないよ。だって馬に乗っている方が楽しいもん」と即答した。あれから12年。度重なるけがを乗り越えながら苦渋の決断だったに違いない。

車やバイク、鷹狩りや海釣り、ワインなど多趣味で知られる60歳。今後は好きな世界でも「先生」として才能を発揮する日を想像してしまう。(牧野 博光)

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