◆第31回秋華賞・G1(10月18日、京都競馬場・芝2000メートル)

 今ではその言葉にうなずくしかない。先週の取材中に上村洋行調教師(52)=栗東=が放った一言だ。

「あれでわかったでしょう。秋華賞は勝ち方にもこだわりたい」。無傷3連勝で迎えた前走のローズSは一気の相手強化。前2走の勝ち星は小回りの函館で、広い阪神外回りコースがカギだと思っていた。しかし、蓋を開けてみれば直線半ばまで手綱は持ったまま。ムチは下ろされず、3馬身差の圧勝劇だった。

 追い切りや普段の運動でも、指揮官が常に手綱を握る姿が印象的だ。同様の形を取ったのは24、25年の大阪杯を連覇したベラジオオペラなど、G1級の馬。モンローには繊細な面があり、乗り手を変えたくないという意図もあるが、それだけ能力を見込んでいる証しでもある。「努力型だったオペラとは違って、この馬は天才肌。なかなかいない馬ですね」。普段から強気な発言は少ないトレーナーが、絶賛するほどだ。

 世代では明らかにスピードの基本値が違う。臨戦過程からも“令和のファインモーション”と呼ばれるが、担当する指揮官の実兄、上村典久厩務員(54)は「そこまでの馬ではないかもだけど、イクイノックスとかもそうやろ」と、G16連勝を成し遂げた名馬を挙げる。逃げの策に出た23年ドバイ・シーマクラシック。道中で後続を突き放すと、残り100メートルから手綱を緩めながらノーステッキでレコードV。世界に衝撃を与える走りだった。記者から見ても同馬の薄い皮膚はシルクのようで、付くべき部分以外に無駄な筋肉がない点も似ている。

 上村厩務員は助手時代、藤原厩舎に初のG1タイトルをもたらしたエイジアンウインズなども担当。08年ヴィクトリアマイルで日本ダービー馬ウオッカを封じたG1馬と比較しても、「持っているモノと資質は上かもしれん。弾むような歩き方だし、(運動やパドックで)引っ張ってても違う。バネが軽い」と底知れない能力を感じている。

 大一番を控えても、調教パターンは変えていない。「最初から小さいなりに身の詰まった素晴らしい体をしていた。

それが悪くなった感じはしないから、それが一番」と上村厩務員。兄弟でほれこむ才能にテコ入れは無用。デビュー以来無敗の怪物候補が、3歳牝馬の頂点に立つときが来た。(松ケ下 純平)

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