UCCは、サステナビリティの取り組みを社会貢献活動にとどめず、事業成長につなげる動きを強めている。コーヒーの調達、生産、研究開発、人材育成までバリューチェーン全体で基盤を整えながら、水素焙煎や産地支援、新たな商品・サービス開発などを事業化する。
UCCは9月30日、東京・青山で「UCC Sustainable Day 2026」を開催し、「UCCサステナビリティレポート2026」の内容や取り組みの進捗を説明した。今年のレポートでは「コーヒーの価値探求」を軸に、「UCCグループの人づくり」「知の創造エリア」「健康」を3大テーマとして取り上げた。
UCCジャパン サステナビリティ経営推進本部長の里見陵氏は、同社が重視するのはサステナビリティを「事業として成立させる」ことだと説明する。事業として価値を生み、利益を再投資し、顧客や生産者への還元につなげることで、取り組みを持続的に広げる考えだ。
事業化で手応えを示すのが水素焙煎だ。環境負荷低減に加え、味わいという商品価値にもつなげる。販売実績は当初計画を大幅に上回って推移し、水素を使用した焙煎設備の稼働も増えている。海外展開も視野に入れ、現在はオランダでの導入を検討している。
里見氏は「UCCらしいサステナビリティ」について、「挑戦心あふれるもの」と説明。「ちょっとマニアックな取り組みも多いが、深く理解してもらうことで価値が伝わるものが多い」とし、コーヒーを深く追求する姿勢を強調した。
7月に6年ぶりにリニューアルしたUCCコーヒー博物館も手応えを示す。
来館者数は事前予約制のため数割増にとどまるが、入館料に加え、体験サービスや物販の利用が拡大し、来館者1人当たりの利用額が大きく伸びた。里見氏は従来の「歴史館」から「コーヒーのテーマパーク」へ転換したことについて、「コーヒーのテーマパークは強い」と手応えを語った。
こうした国内での価値提案に加え、将来のコーヒー調達を見据えた生産地での取り組みも進める。
タンザニアでは、官民連携による「ELPSイニシアティブ」に参画し、小規模農家の支援を進める。UCCは、農家に有機堆肥の製造・使用方法や剪定、苗床づくり、マルチングなどを指導。現地では牛ふんや鶏ふん、米のもみ殻などを活用した有機堆肥づくりを進め、堆肥を使用した農園ではコーヒーチェリーの実付きにも変化が見られ始めた。
タンザニアは2020~2025年の国家戦略で、コーヒー生産量を2020年の約6万8000トンから年間30万トンへ引き上げる目標を掲げた。USDA調べでは2025年は約8万7000トン。目標には届いていないものの、品種改良や農園拡大、気候変動への対応を進めている。
UCCは生産支援にとどまらず、将来的に生産量が増えたコーヒーを日本市場で販売し、事業につなげる考えだ。気候変動によるコーヒー生産適地の減少が懸念される「2050年問題」への対応にもつなげる。
ベトナムでも再生農業に取り組むほか、ベトナム産ファインロブスタ100%のアイスコーヒーを上島珈琲店で展開するなど、調達と商品開発の両面から新たな可能性を探っている。
このほか、小・中学生向け探究学習教材の提供や、「Roblox(ロブロックス)」を活用したコーヒー農園の疑似体験、健康領域での「UCC TOTONOU by BLACK 無糖」など、多面的な取り組みを進める。
社内への浸透にも力を入れる。サステナビリティレポートの社内勉強会には約140人が参加。UCCの歴史や創業者の思いを学ぶ「DNA研修」も実施し、ここ1~2年は教育機会を増やすなど、人への投資を強化している。
レポート発行を通じた社外との対話も増えている。人権デューデリジェンスなどについて、得意先から「どのように仕組みを作ったのか、自社でも参考にしたい」といった相談が寄せられているという。
サステナビリティを専門部門だけの活動にせず、調達、商品、研究、人材など各事業領域に組み込み、事業部門を巻き込みながら取り組みを広げていく。里見氏は「事業とつながると、事業部門の仲間が増え、活動が広がっていく」とし、「UCCは自分たちで成長するだけでなく、コーヒーの未来を創っていると言っていただける会社になりたい」と語った。









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