だんだん日差しも強くなり、ゴールデンウィークに緑のカーテンの植え付けを始めようという人も少なくないのでは? 今年は、手間のかからない植物を緑のカーテンに選んではいかがだろう。実はゴーヤやアサガオ以外にも、緑のカーテンになる植物はたくさんあるのだ。
私も3年前より毎年夏になると、緑のカーテンづくりのため、バルコニーにゴーヤを植え付けている。…が、実際やってみた感想は「意外と大変」。カーテン状に生育させるためにネットを張る、土の乾燥防止のためにワラを敷くなどといった事前準備はもちろんのこと、つるがネットに絡むよう誘引する、大きく育つように脇芽(幹と枝の付け根から出てくる小さい芽)を摘むなど、立派なグリーンカーテンにするためには、毎日目が離せない。
そうして手間暇かけた緑のカーテンだからこそ、長く楽しみたいものだが、そこは植物にも命が。9月も半ばを過ぎると、青々と茂ったゴーヤも次第に活力を失い、1枚また1枚と葉が変色し始め、気づけばイエローカーテンに。ご近所さんの手前、見た目にも悪い枯れた苗を、そのまま放置しておくわけにもいかず。しっかりとネットに絡まったつるのたくましさに、苛立ちすら感じながらブチブチと引きはがしていく作業は、なかなかの重労働。あんなに愛を注いだゴーヤを前に、本末転倒な気分だ。
ゴーヤ、アサガオ以外に緑のカーテンになりうる植物は?もう少し手間暇かからない、楽チンな植物はないものなのだろうか、しかも、できれば一度植え付けたら長く楽しめるもので…。そこで、さまざまな植物の苗も取り扱うホームセンター・ビバホームの園芸グループバイヤー・青木麗繁(よししげ)さんにオススメの植物を聞いたところ「植物は5度以下の低温に弱いため室内に入れるなどの手間はやはり必要ですが、毎年楽しめる種類はたくさんありますよ」とのこと。以下、青木さん、オススメの緑のカーテン植物を教えてもらった。
【画像1】株式会社LIXILビバ園芸グループバイヤーの青木麗繁さんは、この道20年。ビバホームに並ぶ植物の買い付けを担当している。園芸グループのバイヤーで「青木」姓…、それだけでも説得力を感じる(写真撮影:鈴木大介)
オススメ植物その1「果物トケイソウ」「パッションフルーツという名前でよく知られていますが、ゴーヤよりも幹が固く太いのが特徴で、成長すると樹のようになり10m程度まで大きくなります。葉も1枚1枚が大きく、目隠しにも十分。また、比較的病害虫にも強いです。冬になった際は、伸びた枝を1~3m程度に刈りこんで小さな鉢に戻し、室内に入れておくだけ。また翌年、暖かくなったら、プランター等に戻してあげれば、花や実を付けますよ。ゴーヤの場合、一度にたくさん実ができても食べきれないこともありますが、パッションフルーツなら隣近所にお配りしても喜ばれるのではないでしょうか」(青木さん)

【画像2】パッションフルーツはトケイソウの実。正式な植物名は「トケイソウ」。花の姿が、時計の文字盤面に似ているからだそう(写真撮影:鈴木大介)
オススメ植物その2「ノアサガオ(宿根アサガオ)」「元々は琉球アサガオという植物で、沖縄では海岸沿いなどでよく見かける植物です。通常のアサガオは一年草で、寒い時期になったら枯れてしまい翌年芽を出すことはありません。ノアサガオの場合、冬の寒い時期に枯れてしまうものの、宿根(しゅっこん)という名の通り根は生きており、上からワラや土をかけておくだけで、温かい時期に再び芽を出し始める特徴があります。

【画像3】ノアサガオ。見た目はどことなくサトイモやサツマイモの葉に似ている(写真撮影:鈴木大介)

【画像4】カーテン状のノアサガオ。花をつけるとより一層涼しげだ(画像提供:山梨県甲斐市)
オススメ植物その3「デプラデニア」「つるが良く伸び、比較的病害虫にも強いのが特徴です。冬はパッションフルーツ同様、短く刈り込んで室内に入れておけばOKです」(青木さん)

【画像5】大きく生育させる場合、苗についたつぼみは、すべてとってしまった方がよいと青木さん。植物が花を咲かせるには、たくさんのエネルギーが必要。そのエネルギーを根や葉の生育にまわすためだ(写真撮影:鈴木大介)
ゴーヤ、アサガオ以外にも実は選択肢の多い緑のカーテン。この夏、手入れのラクな植物で緑のカーテンを楽しんでみては?
●取材協力・株式会社LIXILビバ
商品統括部 第2商品部園芸グループ バイヤー
青木麗繁さん