涼しくなり、行楽シーズンになりました。登山やキャンプに出かける人が増えますが、毎日のように、クマのニュースが出ています。

おとといは、岐阜県の世界遺産、白川郷で、外国人観光客がクマに襲われケガをしました。きのうは秋田県美郷町でクマの親子が目撃されています。クマのニュースが多くなっていますが、クマと遭遇した際に使う「クマ撃退スプレー」をレンタルして備える形が広がっています。

レンタルで備えるクマ撃退スプレー

強力な辛み成分を噴出する「クマ撃退スプレー」ですが、どんなシステムなのか、株式会社モンベル 広報部 狩野 剛史さんに聞きました。

株式会社モンベル 広報部 狩野 剛史さん

3日間から貸し出しをしておりまして、基本的には3日間で2500円。ただ使用した場合ですとか、もしくはご返却ができない場合とかも見越しまして、レンタル料金とは別に、保証金も一応レンタルの申し込みの際にいただいてる。現地で買うと1本1万2000円くらいするので、レンタルであれば価格面のハードルはぐっと下がってくる。遊びに行くフィールドに近いところでレンタルされるっていう方が多くいらっしゃいます。東京都内とかからご予約いただいて、現地でお借りして楽しんでいただくというような流れになってます。

クマ撃退スプレーは購入すると1万2000円ほどですが今は低価格で借りられるレンタルサービスが広がっています。このレンタルサービス、モンベルでは去年の秋からサービスを開始して、10月中旬までほぼ予約でいっぱい。現地で借りて現地で返すことができ、気軽に備えられるため、繰り返しレンタルするリピーターも増えている。

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レンタルが広がる理由

お客さんとしては、クマ撃退スプレーを持っていれば、本当にクマと遭遇した際に対処できるだろうという安心感を持って登山やキャンプに臨めますが、実は「レンタル」が広がっている背景には、こういう理由もあります。再び、株式会社モンベル 狩野さんのお話です。

株式会社モンベル 広報部 狩野 剛史さん

クマスプレーっていうのが飛行機に持ち込むことができない。航空法と言われる法律で決められてところがありまして持ち込めない。例えば関東圏のお客様が東北とか北海道に飛行機で登山を楽しもうとしたときに、こっちで買っていっても持って行くことができない。電車とか、タクシーとか、そういったところに関しては一応持ち運びすることは可能にはなってますが、現地で買っても値段のハードルが高くなってしまうってお客様に対してはレンタルサービスっていうものをご利用いただくと、手軽に登山を楽しんでいただく形にできるものになってます。

スプレー類は法令規則により、一部航空機への機内持ち込み・お預けが禁止されています。高度の上昇による気圧の変化がスプレー缶の破裂を引き起こす恐れがあることや、ハイジャック防止の観点からも持ち込みが禁止されています。クマ撃退スプレーはこれに該当します。そのほかの公共交通機関での持ち運びは、禁止されていませんが、2023年に東海道新幹線内でクマ撃退スプレーを誤って噴射してしまったことがあり、公共交通機関へのお持ち込みは「ご遠慮ください」にしている場合もあります。こうした背景から、現地でのレンタルを利用する流れに繋がっています。

クマとの遭遇に備える新常識

クマ撃退スプレーなどの備えも大切ですが、やはり一番はそもそもクマと出会わないことです。これまでのクマ対策のマップでは、「どこででたか」という点の記録しかなく、周囲の危険度までは見えませんでした。

クマに出会わないために「AI技術を活用したリスクマップ」

そこでAIを使って地図全体でリスクを示す新しい仕組みが作られました。

日本気象株式会社ICTソリューション部 コンテンツ課 末田 晃太さんのお話です。

日本気象株式会社ICTソリューション部 コンテンツ課 末田 晃太さん

過去のクマの出没情報からAIで学習させて、これまでは点のデータでしたが、点のデータを、面的な全ての地域に対応するリスクマップとして、開発。本州全域網羅的にリスクがでているので、普段なじみのない田舎であったりそうした場所に旅行に行く際に、旅行先のリスクがどうなっているのかが今回のリスクマップでわかるということ。今後は、クマもやっぱり夜行性であったり、朝夕に活発だったりといった時間帯によって、行動の活発さが違いますのでそれに伴って出没傾向も変わってくるので、そうした時間変化もとらえたようなリスクマップが作れればなと考えております。          

AIを使ってリスクマップを作った結果、「山奥にしかいない」という従来のイメージとは違い、川沿いや住宅地など、日常のすぐそばにもリスクが潜んでいることが改めて分かったそうです。

クマとの遭遇に備える新常識
クマとの遭遇に備える新常識

登山やキャンプなど山のレジャーでの備えが中心だったクマ対策も、今は散歩や畑仕事など、日常の行動範囲にもリスクが広がっています。

クマの脅威は私たちの身近な場所にもに迫っています。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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