空気が乾燥するこの季節、全国各地で火事のニュースが相次いでいますが、今回取り上げるのは空き家における火災についてです。先週も秋田県八郎潟町や愛媛県今治市で空き家が全焼する火事がありました。

管理不全が招く火災リスク

空き家や人の目が届かない建物にはどんなリスクがあるのか、大都市防災について研究をする、東京大学の廣井 悠教授にお話を聞きました。

東京大学 廣井 悠教授

人がいないことによって延焼リスクというよりも出火リスクがあるってことは間違いなく言えて、例えば放火とか、たばこのポイ捨てによって火災が発生することもあるし、劣化したり、ネズミが齧ってコンセントのトラッキング火災とかが発生したり、人がいないことで出火元になるというリスクはあります。全国に900万戸の空き家があるって言われているけど一部の空き家はやはり管理不全の空き家もありますね。管理されてないということで、外壁の防火性能が劣化したり、瓦がずれたりすると、飛び火がね。火の粉が入りやすくなりますし、窓が壊れても火の粉が入りやすくなりますし、管理不全の建物になってしまうと、燃えやすくなりますね。 

廣井さんは「必ずしも空き家そのものが悪いわけではなくて、空き家に関わらず、長く人の手が入らず、管理が行き届いていない状態だと火災のリスクが高まる」と話していました。こうした「管理不全」の建物が住宅密集地にあると、火は1軒で止まらず、周囲に広がりやすくなります。

密集地を変える新しい仕組み

こうした中、横浜市では、空き家の火災リスクを減らすための対策に乗り出しています。横浜市都市整備局防災まちづくり推進課長 杉本 彰さんのお話です。 

横浜市都市整備局防災まちづくり推進課長 杉本 彰さん 

元々空き家を持っていた場所の所有者さんと協定を結んで、整備と空き家の解体工事のそれぞれの補助で対応しています。対象が、横浜市内でも特に住宅の密集度が高い地域で、その中で、やはり家が密集してるので火が起こると延焼しやすいという状況になるため、対策をとらなければというところで取り組んでます。中区の本郷町3丁目の空き家については、管理が完全に行き届かなくて、風とかになると建具が周りに散らばってしまって周りの家についても心配していたという状況があります。特に古い木造の住宅が立ち並んでいる地域になりますので1度火災とかが起こってしまうと、火が燃え広がってしまいやすい。そこに地域の方が課題に感じて、エントリーしていただいたという状況になってます。

横浜市は、木造住宅が密集し火災が起きると延焼しやすい地域を「重点対策地域」と定めています。こうした場所では、人の出入りが少なくなった空き家や、古くなった建物が残ることもあり、地域としては災害時の安全性をどう確保するかが課題でした。市では、「燃え広がる前に火を止める空間が必要だ」として、空き家を解体して広場に整備する補助制度を作りました。土地は市が買い取るのではなく、所有者と地域と市の「三者協定」で無償貸与され、解体費や整備費が補助される仕組み。固定資産税も非課税になるメリットもあり、行政・地域・土地所有者が協力しやすい仕組みになっています。

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除却前

空き家を防災の力に 見直される防災とまちづくり

整備後

空き家を防災の力に 見直される防災とまちづくり

整備後

暮らしの中の防災スペース

そして、空き家を解体して整備された場所はどうなるのかというと、単なる広場ではなく、「防災広場」として生まれ変わります。では具体的にどんな使われ方をしているのか、再び、横浜市 杉本さんに聞きました。

横浜市都市整備局防災まちづくり推進課長 杉本 彰さん

防災広場としての制度になるので、地域の方々の防災訓練や、延焼した、災害が起こったときには、一時避難してもらう空き地という形で使えるようになってます。その他、地域のイベントなどにも活用できる場ということで、いろんな効果があるのではないかなと考えています。大分の佐賀関では、密集したところで火災があったということで、やっぱり空地があることで、火災が燃え止まっているという国の報告もあるため、空地があるっていうことはそういった意味でも燃え止まりがする、避難するとか、あとは通常時は訓練をするとか、そういったところでは、地域の方々に有効に働くんじゃないかなというふうに思ってます。 

横浜市が整備した防災広場は、市内でこれまでに3か所。防災広場には特別な設備を置くわけではなく、あえて「何も置かない空間」にすることで、燃え広がりを止める「防火帯」としての役割を果たします。

また、日常では地域の防災訓練や、祭りなどの行事にも使われ、放置されていた土地に、人が自然と集まり、日常の目が届く場所へと変わるといった、防災と暮らしの両方に役立つ空間として活かされ始めています。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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