2月27日、新潟県糸魚川市で日本で初めてラピスラズリが発見されました。
ラピスラズリといえば、深い青色を持つ天然石で「人類が利用した最古の宝石」とも言われています。


主な産地はアフガニスタンですが、地質もかなり違う日本での発見は初めてのこと!
そこでまずは、糸魚川市でなぜラピスラズリが発見されたのか。調査を行っている国立科学博物館・理学研究部の門馬綱一さんに伺いました。

国立科学博物館 理学研究部 地学研究グループ 研究主幹・門馬綱一さん

(ラピスラズリは)アフガニスタンが有名なんですけど、ある程度の大きさの塊としてラピスラズリと呼んで差し支えのないようなものは、世界的に非常に産地が限られていて、それが日本にあった。かつアフガニスタンともやっぱり日本の地質でだいぶ違うので、それがどうやって日本でできたのかなっていうのは、非常に面白い発見があったなっていう感じです。
日本って地震と火山の国ですけれども、プレートが沈み込んでいくところにある島が日本列島で、非常に複雑な地質ですし、それによって鉱物の種類も多いし、毎年、日本で産出が確認されている鉱物種ってどんどん増え続けています。

日本は特殊な地質であるということですが・・・

今回ラピスラズリが発見された糸魚川周辺は、日本列島を東と西に分断する境界の「フォッサマグナ」の縁にあり、複雑な地殻変動が起きた場所で特に特殊なんだそうです。

そんな糸魚川で発見されたラピスラズリ、直径20センチほどで、優しい綺麗な青色をしていました!
今回のラピスラズリは青やグレー、白い部分が混じったような岩石なのですが、青い部分ではなく、白い部分の鉱物の組み合わせが海外産のものとは違う、日本オリジナルなんだそうです。

門馬さんのお話では、日本での鉱物の種類は増えているという事でしたが、現在日本では1500種類ほどが確認されているそうです。世界の鉱物が6000種類なので・・・なんと世界の鉱物の4分の1が日本で見られるわけなんです!
日本ほどの小さな国でこれだけの鉱物が見られるのは、かなり珍しいんです。

また、ラピスラズリといえば、世界の芸術作品にも使われています。
(例)エジプトのツナンカーメン・黄金のマスク、画家フェルメールの青色・・・

そんなラピスラズリなんですが、実は日本のお宝にも使われているそうなんです。
その昔、シルクロードを通って日本へやってきたとされたラピスラズリ。

日本の歴史的お宝とラピスラズリの関係について、新潟県フォッサマグナミュージアム学芸員の、小河原孝彦さんのお話です。

フォッサマグナミュージアム学芸員・小河原孝彦さん

有名なのが奈良の正倉院の宝物になります。その宝物の中に、昔の方が作られたベルトのバックルと言いますか、その部分にラピスラズリが使われております。当然海外産だというふうに考えられていますが・・・
実はですね、日本の、例えばお墓ですとか遺跡から出てくるヒスイのマガタマ、ヒスイは昔、日本では発見されていなかったということがありますけれども、すべて海外産だというふうに考えられていました。その海外産だというふうに考えられていたものが、糸井川でヒスイが発見されたことによって、国産だということが実はわかったんですね。正倉院の宝物のラピスラズリ、日本産かどうかということを確かめる必要が出てきているのかなというふうにも思います。

これまでの日本の美術史が変わる可能性も!

日本初のラピスラズリ!の画像はこちら >>

ラピスラズリの青は日本では「瑠璃色」として古代から親しまれていて、これまではシルクロードを通って日本にやってきたと考えられていたんですが、今回の発見で、国宝級の芸術作品の見方というのも変わっていきそうです・・・

さらに今回の国産のラピスラズリの発見は、日本の美術界からも喜びの声が上がっていました。ラピスラズリの顔料を使って絵画の複製・修復を行う、奈良俵屋工房の代表で絵師の、高橋亮馬さんに、今回の大発見について率直な感想を伺いました。

日本初のラピスラズリ!
ラピスラズリの顔料:奈良俵屋工房

奈良俵屋工房代表・高橋亮馬さん

すごいことだと思います。大体この周辺にラピスラズリの鉱脈があるって、国が特定できたら、使っている人からしたら、もうお祭り騒ぎですね。どっかで一杯飲んでるかもしれないですね。
絵画表現上の材料としては、人工のものとはやっぱり違うしね・・・要するに化学的に合成されたやつってのはすごい発色力があって、ある意味強烈。

だけど自然のものは、その辺はいい意味で弱い、あと粒子も粗いんで、技術的には通常は嫌うと思うんですよ。でも、厄介なんだけど、上手くいったらすごいんですよ。鳥肌が立つと思います。やっぱり個々の材料のパフォーマンスっていうのかな、そういうものの中で(ラピスラズリは)トップクラスですよね。

高橋さんはラピスラズリの岩石を砕いて顔料も作っているのですが、「ウルトラマリン」と言われる深く濃ゆい青色は、ラピスラズリ岩石からなんと10分の1程度しか取れないんだそうです!

日本初のラピスラズリ!
複製作業の様子:奈良俵屋工房
日本初のラピスラズリ!
ウルトラマリン:奈良俵屋工房

ただ、この手間を手間と思わない美しさ、お金と時間をかけるだけの価値が十分にあるとお話されていました。
今回の発見については「日本のラピスラズリが絵画に使えるものかどうかはまだわからないが、見つかったことに意味がある」ということでした。

また、奈良俵屋工房ではラピスラズリの「青」を身近に感じてもらおうと、本物のラピスラズリを贅沢に使用したネイル用品を作っています。
私も実際に爪に塗ってみたのですが、目が覚めるような青色で気分も高まりました!ラピスラズリを身に(爪に)着けられるなんて、斬新な発想ですよね。

日本初のラピスラズリ!

糸魚川産の国産ラピスラズリ、第2号、第3号が現れる日も近いかもしれません!今後の動向を楽しみに見守っていきたいものです。

(TBSラジオ『森本毅郎スタンバイ』より抜粋)

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