毎週土曜日「蓮見孝之 まとめて!土曜日」内で8時20分頃から放送している「人権トゥデイ」。
様々な人権をめぐるホットな話題をお伝えしています。

今回のテーマは・・・『左利き向けのグッズについて』

“左利き”向けグッズを展開する店舗

今回は、“左利き”の方向けグッズの市場が広がってきているという話題を、お届けいたします。
“左利き”の方の人口は、日本では全体の1割強と言われています。…というわけで文字通りの少数派、マイノリティなんです。
そうした左利きの方向けの製品を、目にすることはまあまああると思いますが、様々な商品をまとめて取り扱っているお店は、なかなかありません。

日本国内で恐らくただ1店だけ、ネットではないリアル店舗で、“左利き向け”の商品を揃えたコーナーを持つ文具店が、神奈川県相模原市に在る「菊屋浦上商事」です。

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▼おたま

“左利き”向けグッズ市場が拡大!ターゲットは2020年?

◆菊屋浦上商事社長・浦上裕生さん:
30年ぐらい前、ちっちゃなコーナーから始めました。私の弟が完全なる左利きで、テスト前に紙工作をしてた際に、右利き用のカッターを使っていて、手をざっくり切ってしまったんです。それで私たちの母が、左利きのカッターをウチで売ってたにも拘わらず、弟に渡してなかったことに気付いたんです。多くの左利きの方が、このように困ってるんじゃないかということで、コーナー展開をしたのが、スタートです。

菊屋浦上商事では、家族の事故があって、“左利き”の方々のニーズに気付いたというわけです。こちらの“左利き”向けコーナーの現在の品揃えは、カッターやハサミ、定規などの文具をはじめ、栓抜きや缶切り、包丁やおたま、フライ返しなどの調理器具、更には急須や扇子、草刈用のカマまで。ほぼ100種類の“左利き”向けグッズが揃っています。

因みに、「菊屋浦上商事」が近所の小学校に“左利き”向けの給食用おたまを寄贈したことがあるんですが、予定した数より多くを求められたりもしたそうです。その昔、私たちが子どもの頃って、“左利き”の子どもって「不便」とか「みっともない」とか言われて、“右利き”に矯正される場合も多かったんですが、最近はそんなことも少なくなったので、ニーズはかえって高まってるのかも知れませんね。

“左利き”から爆発的な支持を得たボールペン

現在“左利き”の方々から熱烈な支持を集めて、大ヒットとなっているのが、ゼブラのボールペン「サラサドライ」です!

▼左利きからの支持を集めるボールペン

“左利き”向けグッズ市場が拡大!ターゲットは2020年?

速乾性=速く乾くインクを使っているボールペンなんですが、はじめは特に“左利き”向けを意識して開発したわけではないと言います。
なぜそんなにウケたのでしょうか?

◆ゼブラ株式会社 広報室 池田智雄さん:
左利きの方がペンで文字を書く場合に、左手で左から右の方向に書いていかれるんですけども、その際書いた文字の乾きが遅いと、書いた後すぐに左手でこすってしまって、手が汚れてしまう。文字がかすれてしまうという不満が、これまであったんですけども、「サラサドライ」に関しては、インクの乾きが早いので、左手で左から右へ書いていっても、手が汚れないということで使い易いという風に伺っています

「ゼブラ」で「サラサドライ」発売後にアンケートを取ってみると、それまで“左利き”の方は、手が汚れないように、ノートに手を付けずに書いたりしていたことがわかったそうです。そんなわけで1年間100万本売れればヒットのボールペン市場で、「サラサドライ」は、2年半で600万本という大ヒットになったわけです!

「レフティ21」~“左利き”グッズが日本をアピール!

実は「菊屋浦上商事」では、この「ゼブラ」など“左利き”向けグッズを製造・販売しているメーカーに呼びかけ、あるプロジェクトに取り組んでいます。

◆菊屋浦上商事社長・浦上裕生さん:
2年ほど前から「レフティ21プロジェクト」に取り組んでいます。2020年に「東京オリンピック・パラリンピック」もありますので、海外の方が多く来日されると思います。そういった方々にも“左利き”用グッズをアピールしていきたい。また商品開発の中で、“左利き”に使い易い道具をどんどん作っていきたい。そこでメーカーと一緒に情報交換したり、商品開発の部分に携わったりとかしていきたいと考えています。

浦上さんは「レフティ21プロジェクト」で、商品開発やそれを盛り上げるイベントなどを仕掛けるのに、クラウドファンディングによって、資金を調達したり、一般の関心を高めるプランなども練っている最中です。

“左利き”向けグッズ市場が拡大!ターゲットは2020年?

しかし欧米などは、かつての日本のように“左利き”を“右利き”に矯正されることとかもなさそう。“左利き”向けグッズも充実していて、わざわざ日本で求めることもないように思えます。
実際のところは、どうなのでしょうか?

◆菊屋浦上商事社長・浦上裕生さん:
私はヨーロッパも行ってますし、アメリカも行ってます。ここ最近だとシンガポールにも行ってるんですけど、実は海外の方が“左利き”用の用品って、ほとんど売ってないんですよ。シンガポールに限っては、日本の商品を逆に輸入していて、ウチの店で売ってるような商品のハサミの一部が売られているぐらいだったんです

現時点でも「菊屋浦上商事」には、ネットなどで情報を得た外国人が、わざわざ来日して“左利き”向けグッズを買いに来ることが、頻繁にあると言います。
“左利き”グッズは、世界に誇る「日本の技術」をアピール出来る、真の“クールジャパン”アイテムになる可能性を秘めているのかも知れませんね。

◆11月3日放送分より 番組名:『蓮見孝之 まとめて!土曜日』内「人権トゥデイ」
◆http://radiko.jp/share/?sid=TBS&t=20181103070000

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