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6月14日(火)放送後記

7時30分過ぎからは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」

6月に入って、天気が急変、突然の雷雨になったりする季節に。落雷があると、家のパソコン、オーディオなどが壊れてしまうので、注意が必要です。

リモートワークの広がりで、家もオフィス並みに対策が必要となってきていますが、そうした中、新しい落雷対策が広がっているので取材しました。

挿すだけでOK!家庭でプロ並み落雷対策

家庭で簡単にパソコンなどの家電製品を守るにはどうしたらいいのか?実は5月から、簡単だけど機能はプロレベルという落雷対策グッズが新発売となっています。その名前は「サンダーブロッカーPro」。どんなものなのか?製造販売する株式会社昭電の事業推進部、向井雅兼さんに伺いました。

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株式会社昭電事 業推進本部 向井雅兼さん:
「サンダーブロッカーProシリーズ」は、オフィスやご家庭のパソコン、そしてネットワーク機器、テレビ家電などを、雷の被害から守る製品です。電源コンセント用、LAN用、テレビ用の3種類があります。

電源コンセント用の製品は、刃の部分を、OAタップなどに挿すことによって、OAタップの他の口のところに挿してある家電製品を守れるというものになっています。

一般的な落雷の被害は、近くに落雷が発生した時に「誘導雷」というものが起こるんですけども、その誘導雷の雷のエネルギー程度であれば、雷の被害から守ることは可能です。

働き方の変化によって、テレワークであったり、シェアオフィス、動画配信であったりと、安全性の高いですね、パソコンですとか、あとネットワーク環境というものが必要になってきておりますので、こちらの需要というところも、今後、ますます高まってくるのではないかなというふうに感じております。

▼こちらが「サンダーブロックPro」シリーズ(昭電公式サイトから)

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サンダーブロッカーProは、電源コンセント用、LAN(ケーブル)用、テレビ(のアンテナケーブル)用の3種類。電源用は、家電の電源ケーブルのように2本の歯が出ていて、それを電源タップに挿すだけです。

▼このように電源タップに挿すだけ!(昭電公式サイトから)

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落雷で、高い電流が流れてきても、サンダーブロックが電圧を下げて、電流を逃がす仕組みとなっています。落雷では、LANやアンテナケーブルにも高い電流が流れますが、そちらは、LAN用、アンテナ用を、ケーブルの間にかませることで、同様に、電圧を下げて、機械の故障を防いでくれます。

▼LAN用は間にかませるだけでOK(昭電公式サイトから)

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実は似たような商品は、昭電からも、他社からも、以前から発売されていました。ただ、それらは「JIS規格」を満たしていないものがほとんどでした。

今回は、JIS企画を満たし、大規模なオフィスや工場などで、従来は工事して設置していたような高いレベルのものが、「家庭で、挿すだけでOK」という形で売り出され、人気になっているそうです。

価格は、ものによって様々ですが、1万9000~3万4400円。ややお高いですが…今は、家や小さなシェアオフィスで働く人も多く、ニーズがあるようです。

避雷針があっても安心できない!

ただこれは、一般の家庭向けで、避雷針があるビルやマンションなら必要ないのでは?と思ったので、向井さんに聞いてみました。

株式会社昭電 向井雅兼さん:
避雷針はですね、実は「建物」と「人命」を守るためのものというふうに規定されているんですね。避雷針に応じることによってですね、例えば鉄筋ですとか、そういったところに雷のエネルギーが流れるんですね。その際にですね、雷の電流が鉄筋を流れると、その近くに電源線ですとか通信線ですとか、そういったものもございますので、そこが電磁誘導を起こすことによって、家電製品やパソコンなどを破壊するケースに至る可能性があります。

避雷針というと、雷を受けて、地面に電流を逃すというイメージですが、ただ、完璧に逃がすわけではなく、建物の中に雷の電流が侵入してしまうそうです。

そこで、建物の中のコンセントにつながっている機器を守るには、やはり対策が必要ということでした。

雷を落とさない!新発想の避雷針?

避雷針でも完全には防ぎきれないとなると、なかなか手強い雷ですが・・・では、雷が落ちないようにする方法はないのか??

調べてみると、避雷針と違って、雷が落ちない、新しい発想の落雷防止設備が広がっていました。

こちらは「PDCE避雷針」という設備なんですが、一体、どんな仕組みなのか?製造、販売を行う株式会社落雷抑制システムズの代表取締役、松本敏男さんに伺いました。

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落雷抑制システムズ 代表取締役社長 松本敏男さん:
避雷針というのは、実は「雷避ける針」と書きますけど、あれは雷をわざわざそこに招いて、落としやすくしてるんです。実は、避雷針の先から「お迎え放電」なるものが上に上がって行ってですね、上から降りてきたものと結びついて、そこに大きな電流が流れるのが、落雷なんです。

ですから、その「お迎え放電」を出さないようにすればいいわけで、そういう発想で作っています。

まず、避雷針に比べるとですね、先端は滑らかな球体となっていて、尖ったものよりは放電しにくいです。

あと中がですね、絶縁する構造になってまして、地面から電流が流れにくいというような仕組みになってます。

これで「お迎え放電」がなくなり、雷が落ちません。

日本で3,300台以上納入しまして、「落雷が発生しない」とお客様から非常に喜ばれております。

▼通常の避雷針と「PDCE避雷針(右)」のイメージ(落雷抑制システムズ公式サイトから)

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▼PDCE避雷針の先端部分(落雷抑制システムズ公式サイトから)

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普通の避雷針は、上空からマイナスの雷が落ちてくるのを、地面からプラスの電流が上がって、針先に集まって「お迎え放電」を出して、引っ張ってくる仕組みです。

一方、この「PDCE避雷針」は、先端が丸い半球になっていて、かつ、絶縁体が入っているので、地面からのプラスの電流が上空に放出されない。むしろ表面は、雷と同じマイナスになって、雷が落ちることができない!

高さ20メートルに設置すると、半径100メートルには落ちないということでした。

▼横浜国際競技場に設置されています(落雷抑制システムズ公式サイトから)

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元々は海外で発明されたものを、日本で発展させ、こちらが13年前から販売。今は3,300台、ビルはもちろん、牛久の大仏の頭にも乗っかっているそうです。

▼牛久大仏様の上にも!(落雷抑制システムズ公式サイトから)

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避雷針の仕組みが発明されたのは、およそ270年前。当時に比べ、社会は大きく変わりIT化が進みました。今の時代にあった形の雷対策が必要そうですね。

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