TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』毎週月曜日~金曜日 朝6時30分から放送中!

6月21日(火)放送後記

7時30分過ぎからは素朴な疑問、気になる現場にせまるコーナー「現場にアタック」

これから夏にかけて、天気が急変し、雷、そして雹が降るようなこともあります。既に6月2日から3日にかけては関東の広い範囲で降った雹の影響で農作物への被害、建物の屋根や窓ガラスの破損など深刻な被害が出ています。

その中でもきょう取り上げるのは車への被害です。

ピンポン玉サイズの雹が広範囲に降り、被害が拡大

特に今回の雹は大粒だったため、被害も甚大な模様です。そうした車の修理を行っている千葉県柏市の店舗「デントリペアワークス」の代表取締役・金枝弘尚さんに伺いました。

デントリペアワークス(株式会社ゴールドブランチ)代表取締役 金枝弘尚さん:

雹が降った翌日から連日100本以上のお問い合わせがありました。今の修理待ちは60件程度。修理が1年かかっちゃうので、やむなく新規予約お見積もりを今止めている状態にあります。うちは20年以上営業させて頂いているんですけど、通常の雹のサイズを大幅に上回るピンポン玉サイズが降ったんですね。で、さらにそのピンポン玉サイズが降った地域があまりにも広範囲だったと。私達修理する側にとってもやっぱり雹のサイズが大きいと、そのへこみのサイズも必然的に比例して大きくなるので、修理にあまりにも時間がかかってしまうと。

▼黄色い紙が貼ってある箇所にへこみがあります。

関東の降雹で車がボコボコ、修理は1年待ち。被害を未然に防ぐに...の画像はこちら >>

デントリペアワークスは千葉県柏市の店舗ですが、修理依頼は千葉県内の市川市、船橋市のほか、埼玉県本庄市、春日部市、松伏町。群馬県館林市、高崎市など広範囲から来ているとのことです。また雹の大きさについて、これまでであれば大きくても500円玉位のサイズで、車のへこみが1~3cm。

しかし今回はピンポン玉サイズの雹が降った地域も多く、へこみが10cmを超えるものもあったといいます。そうしたへこみが車1台につき100個近くあるケースもあり、修理するには1週間に1台、1か月に4台程度しか受けられず、同業他社もパンク状態にあるということです。

車の価値を下げない修理方法「デントリペア」

特に、こちらの店舗の名前にも含まれている「デントリペア」という修理方法が雹の被害に適しているということもあって、より依頼が殺到しているようです。

デントリペアワークス(株式会社ゴールドブランチ)代表取締役 金枝弘尚さん:

デント=へこみ、リペア=修理。ヨーロッパで誕生して雹害の多いアメリカで育った技術と言われてます。雹害車の修理は板金塗装が一般的でした。板金塗装による雹害修理というのは、ボンネットを交換、塗装。屋根を切って交換、塗装。この時点で「事故車」になってしまいます。そこで私達がやっているデントリペアは、凹みを裏からゆっくり押し出して直していく。オリジナル塗装を残せるということが車好きにとっては最も、私達も最もこだわっている点であります。オリジナル塗装を残すということは、車の価値を下げずに修理が可能だということです。ただし、デントリペアは板金塗装より万能ではなく、修理できる凹み、できない凹みを選びます。

なので今回の雹害修理でもデントリペアできなかった車両もありました。

関東の降雹で車がボコボコ、修理は1年待ち。被害を未然に防ぐには?

棒状の鉄の工具を使って丁寧に凹みを直すデントリペア。塗装などを行う一般の修理方法とは異なり、修理歴がカウントされず事故車扱いにならない点がメリットで、今回の雹をきっかけに初めてデントリペアを知って依頼する人も多いといいいます。しかし、あまりにひどい凹みはデントリペアでも対応しきれない場合もあるということです。

雹による車への被害を未然に防ぐには?

そもそも、雹による車への被害を最小限に食い止めるには?JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)に取材しました。JAFは今回の雹の被害でも、窓ガラスやミラーの破損によって走れなくなった車の搬送依頼を受けたとのことですが、そういった被害を未然に防ぐための対策について、JAF東京支部の杉本実さんに伺いました。

JAF東京支部 事業課 交通環境係 杉本実さん:

気象庁からの発表などで「雷を伴う」とか「大気の状態が不安定」とか「竜巻などの激しい突風」といった言葉が使われたり、あるいは雷注意報が発令されたときは要注意ということになります。そのような予報が出ているときに、車の使用を避けるというのが一番かと思います。自宅駐車場が屋外の場合には屋根があるコインパーキングや施設の方に車を移動する。そういう事ができないようであれば、車体に厚い毛布をかぶせておくとか、そのようなことで傷防止になるかと思います。

このほか、雹が予想される中でどうしても車で移動しなければいけない場合の注意点として、雹や、雹によって落ちた樹木によって排水溝が詰まり道路が冠水しやすくなる懸念もあるので、冠水する可能性が高いような道は避けることを挙げていました。

また、もし走行中に雹が降ってきたときは、屋内駐車場に避難する、近くに屋内駐車場がなければ、まずは落ち着いて減速をして、左側に停車する。

高速道路の場合にはパーキングエリアやサービスエリアに車を停車してやり過ごすのが望ましく、万が一フロントガラスやミラーが破損し走行不能となった場合は、非常駐車帯や路肩に車を停車してから、非常電話や携帯電話で#8139にダイヤルし、JAFに救援依頼を行いましょう。

編集部おすすめ