TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』毎週土曜13時から放送中!
6月24日(土) 放送後記
14時45分頃からは世界各地のさまざまな「あ」を探す『「あ」の国の話』。
きょうは、メキシコの「あ」
井上:きょうは、メキシコの「あ」です。東京 上野の東京国立博物館では、70年ぶりとなる古代メキシコ文明に関する展覧会が先週から開催され、にぎわっているようです!メキシコは今、ちょっとホットな国でもありますね。
長屋さん:Buenas noches(ブエナス ノーチェス)!メキシコの公用語であるスペイン語で「こんばんは」という意味です!
井上:バタバタとすみません。今日のテーマはこちらです!
サボテンやタコスだけじゃない!パリにも負けない ”芸術の都” メキシコシティ
井上 :メキシコというと、世界遺産はもちろん、サボテンやテキーラ、タコスなどのメキシコ料理に、メキシコのプロレス、ルチャ・リブレといった、陽気なラテンの国のイメージが先行してしまうんですが、芸術も盛んなんですか?
長屋さん 私が住んでいるメキシコシティは、世界トップレベルの”芸術の都”です!通りを歩いていれば、必ず何かしらのミュージアムがあるほどですよ。一番有名なのが、「メキシコ国立人類学博物館」。ここや、他のメキシコの主要博物館の所蔵品の一部が今、日本に行っていて、先ほど井上さんからもお話しがあった「古代メキシコ展」で展示されています。
井上:メキシコは、古代文明や遺跡の印象が強いですから、それらを展示する博物館などが多いのでしょうか?
長屋さん・もちろんそういった博物館もありますが、ちょっと変わったものもあるんです。例えば、「テキーラ・メスカル博物館」。博物館のメインテーマは、その名の通り、メキシコを代表するお酒である「テキーラ」と「メスカル」で、どちらもメキシコで広く栽培されている、「マゲイ(竜舌蘭)」を原料にした蒸留酒です。
田中:お酒も飲めるんですか?
博物館はお酒の展示だけではなく、もちろん飲むこともできます。入場券には、試飲できる無料チケットが付いているので、併設されたレストラン・バーで、メキシコ料理とともに楽しめます!
井上 :メキシコならではの博物館ですね!
長屋さん 他にも、「とうもろころ博物館」や世界中の靴が集まった「靴博物館」や、「警察博物館」、本物のギロチンや電気椅子などを展示した「拷問博物館」に「麻薬博物館」など一風変わったミュージアムもあります!

井上 :古代遺跡を中心とした世界遺産も多いメキシコですから、ミュージアムが多いのは理解できますが、それでもこれだけの数が揃う「理由」のようなものはあるんでしょうか?
長屋さん 実は、100年以上前に遡る、歴史的な背景があるんです。
井上 :「壁画」というと、街中の建物などに描かれたんですか?
長屋さん そうです。芸術は、誰でもいつでも鑑賞できる ”開かれたもの” であるべきという信念から、当時の芸術家たちは、壁に直接描くというアイデアにたどりつ着いたんです。この芸術運動は、「壁画運動」と言われています。メキシコの壁画運動は世界中に影響を与え、日本でも岡本太郎やイサムノグチが影響を受けたことで有名です。
井上 :そういえば、渋谷駅の構内には、岡本太郎の大きな壁画がありますね。あれもメキシコの影響を受けている作品ですかね?
長屋さん:そうです。公共の場で、多くの人に訴えることができる「壁画」という形に意味があるんです。その「壁画運動」の流れをくんで、誰でも文化芸術にアクセスできる場を設けるという趣旨で、メキシコにはミュージアムが多いんだと思います。
井上:深い理由があったんですね。

長屋さん:そうなんです。
井上:メキシコの方は、日常生活で無意識のうちに芸術に触れているわけですね。
長屋さん:壁画だけでなく、メキシコのミュージアムは、日曜日はたいていの施設がメキシコ人なら入場無料になります!「メキシコは、パリにも負けない芸術の都」って、あながち言い過ぎではないって理解してもらえましたか?
井上:きょうは、メキシコシティにお住まいの 長屋美保さん にメキシコの「あ」をお聞きしました。長屋さん、ありがとうございました!