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10月30日(月)放送後記
今月は新聞週間もありましたが、無地の白い新聞が売っているってご存知ですか?東京新聞がオフィシャルオンラインショップで売っているのですが、そもそも、白い新聞とはいったい何なのか?
新聞の刷り初めに必ず出る、白い新聞!
東京新聞を印刷している埼京オフセット株式会社の工場長、斉藤元明さんに聞きました。
埼京オフセット株式会社 工場長 斉藤元明さん
「我々、無地新聞と呼んでますけども、刷り初めに必ず20部から30部、一日約500部くらい、一か月で1500キロくらい、どうしても出ますね、印刷する際には。
新聞を印刷する、輪転機と呼んでますけども、インクと水を使う印刷方式、オフセット印刷と呼んでますけども、その際には必ず白い新聞、無地の新聞が発生してしまう、と。
新聞の大きさです、で真っ白です。印刷で使いますので強い。強くて軽くて、吸水性が高い、乾くのも速いです。新聞印刷してると、インクと水はもう、すぐ乾きますね。
ちょっと用途によっては、やっぱりインクが付いてる新聞だと、インクが写ったりする場合もありますので、無地の新聞の方が色々使えるのではないかなぁという風に思ってました。」
新聞の刷り初めにどうしても出てしまう、白い新聞がこちら。
(まるっきり新聞なのに、文字が無い白い新聞!不思議な感じです。)
コピーのように最初の1ページ目からきれいに出るのではなく、大型の輪転機の場合、紙のロールをひっかけるので、回し始めは印刷されない無地の紙や、インクがなじむまでのムダが出てしまうんです。(昔の、カメラのフィルムの最初の方のイメージ)
これを、東京新聞では朝刊5日分(約30枚)で450円で販売しています。強くて軽くて吸水性が高く、乾くのも早い!優秀な紙ですね、新聞紙って。使いみちとしては、大きな紙なので、子どものお絵描き用にとか、裏に墨が写らないので、お習字の半紙の代わりにもいいし、油も良く吸うので、キッチンタオルの代わりにもいい。
斉藤さんの会社では、以前からペーパータオル代わりに使って手を拭いていますし、野菜の保存などの包装材、何かを送る際の緩衝材。また、ペットのトイレシートにも重宝されていて、大口の注文もあるとか。
白い新聞はなかなか好評!「とってないから買いに行くかも」
そこで、実際に街で、白い新聞どうですか?と聞いてみました。
「知らなかったです。でもいいですね、なんかね。荷物のあいだの隙間を埋めるのに新聞紙だとだと見栄えが悪いけど、これだったらくしゃくしゃってして入れたりとかで使えて、今、いいなと思いました。」
「あーなんか、うん、子どもいると学校で使う、工作だったり習字だったり、やっぱり持って来て下さいっていうのがあるので、そういう時にあるといいな、と思いますね。新聞持って来て下さいって言ったら、買いに行っちゃうかもしれないですね。」
「初めて見ました。でも、小学校で工作で新聞紙持って来てって言われたとき、新聞とっないので、買うかもしれないです。」
「全然知らなかったです。でも確かにあれですね。揚げ物の油を吸いとるのには、ちょっと普通の新聞は抵抗があるっていうか、新聞の上にキッチンペーパーを敷いた上で油切ろうと思っても、やっぱりちょっと新聞のインクが、食品にどうなのかな、っていうのは気になってたので、たしかにこれを使えるのはいいかもしれないですね。」
買うっていう人が結構いましたね。
最近は、メルカリなど荷物を発送する側になる人も多く、緩衝材として使うなら、古新聞よりも、無地の新聞の方が見栄えが良くていい!とか、揚げ物の油を切るのに、今まで新聞のインクが食べ物に触るのはどうなのか?と気にしていたので、字が無いのは嬉しい!という方など、なかなか好評でした!
また、100均でも無地の新聞が売られるようになっていて、こんなのが売ってる!とSNSでも話題になっていて、白い新聞、人気が出そうです。
白い新聞だけじゃない!商品になる古新聞!?
ただ、ちょっと悩ましいこともあるのです。
それは、実は、白い新聞だけじゃなくて、黒い新聞も商品になる、ということ。再び、斉藤さんのお話です。
埼京オフセット株式会社 工場長 斉藤元明さん
「弊社、戸田市にあるんですよ。
あの商品にならない新聞として、一番最初に白い新聞が出ます。その後に黒い新聞、インキが付いた瞬間の新聞が出ます。
で、その後にだんだん文字とか写真が印刷されてくるんですけど、例えばインクが濃かったり、体裁が悪かったり、カラーの写真とかが上手く調整されてない、ちょっとずれてる新聞なんかが出ますね。全部じゃないんですけど、一部商品としてなるという感じです。
もちろん困っちゃいますね、これは。ホントはね、新聞を購読して読んで頂きたいんですけれども、でも最近はね、なかなかそうもいかないので、その無地の新聞とか、古新聞ですよね、利用される方が居れば、購入していただければと思いますけどね・・・。」
印刷が上手くいかなかった黒い新聞、インクが付いている新聞、いわゆる古新聞が、地元の産業の品として、ふるさと納税の返礼品になっているんです。でも新聞を購読していれば、家にあるのが古新聞。それが商品になるということは、家に無い、つまり、新聞をとってない、ということですからね・・・。
白い新聞も古新聞も、もちろん使い勝手もいいし、みなさんが買ってくれるのは嬉しいのは嬉しいんですが・・・と斎藤さんは複雑な気持ちでもあるのです。
新聞紙が身近にあると便利だな~という気持ちが、新聞を読むことにつながるといいですよね!