TBSラジオ『森本毅郎・スタンバイ!』毎週月曜日~金曜日 朝6時30分から放送中!

1月9日(火)放送後記

年が明けて1週間経ち、きのうは成人の日の祝日でしたが、中にはきょうから本格的に仕事という方もいらっしゃると思います。年々働き方が自由になっていますが、働きやすい環境を作ろうと、企業の「福利厚生」が多様化してきています。

出社すると2000円!?「出社手当」

コロナ禍以降、リモートワークも日常となるなか、社員に出社してもらおうと「出社手当」を取り入れたIT企業がありました。株式会社アジャイルウェア人事採用担当 加藤愛さんのお話です。

株式会社アジャイルウェア人事採用担当 加藤愛さん

会社に出社、1日4時間以上勤務をした場合、2000円が支給される形になります。支給日数は上限10日、毎月という形です。リモートのコミュニケーションだけでは、メンタルとか、コミュニケーションというところでも不安や不足を感じていました。「みんな出社してきてね!」と言ってはみたものの、リモートに慣れすぎて全く出社をしてくれませんでしたので、会社としてお金を払ってでも出社してもらう価値は、出社にあると考えてスタートしています。コミュニケーションの部分の生産性が高くなったり、創造性が高くなるというのが1つと、どうしても1人でこもってリモートをしていると、メンタルヘルスに不調をきたす社員が出てきたり、運動不足で身体の健康にも問題があるのもあって、スタートしています。

この会社では、去年9月から出社手当を導入しました。コロナ禍ではフルリモート、今はリモートと出社の両方を導入していますが、あまりにも出社する人が少なかったことから、手当の支給を始めたそう。1日4時間以上の出社で2000円、毎月の上限が10日なので、1ヶ月に最大2万円の出社手当が支給されます。社員数は60人で(大阪オフィスに45人、東京オフィスに15人)手当の導入前は出社する人は2、3人だったのが、今では常に10人ほど出社していて、コミュニケーションも活発になったそうです。

出社手当を利用する社員は

手当を利用する社員の、仲沼桃花さんに伺いました。

手当を利用する社員 仲沼桃花さん

フルリモートでやっていたので、手当をきっかけに出社することが増えました。出社手当が入ってから出社する人も増えたので、オフィスで業務と関わりない人とも話す機会もとても増えて、仕事がよりしやすくなりました。

家でずっと対応していると気が滅入っちゃうときもあるんですけど、周りに人がいると「ちょっと聞いてくださいよ~」みたいな感じで言いやすいのでありがたいです。

この社員の方は月に5回ほど、出社手当の制度を利用しているそう。出社が強制ではなく「週2回くらいは出社してね」と、ある程度自由なのもありがたいと話していました。コロナ前までは当たり前だった「出社」という行動自体に手当が出るというのは今ならでは。働く環境の変化だなと感じました。このほか、アジャイルウェアでは、出社するとランチ手当1日500円を支給して、社員のコミュニケーションの活発化をはかる工夫をしているそうです。

「推しメン休暇」とは!?

一方、休日のインプットを仕事に生かしてほしいと、ユニークな休暇を取り入れている企業もあります。エンタメ・ゲーム事業などを手がける株式会社ジークレスト 大辻純平社長のお話です。

株式会社ジークレスト 大辻純平社長

「推しメン休暇」というものがあります。アニメのキャラクターや、俳優さんとかタレントさんとか、自分の推しメンの活動や誕生日とか特別な日に休暇をとってOK、「推し活」に対して上限5000円まで会社が支給する制度です。1年に1回使ってOK、あとは上長にその人が推しメンと認定できるかを一応確認してもらって、例えばスポーツの試合を観に行きたいもOKですし、映画監督でこの人が推しです、その人の映画を観に行くのもアリになってます。時代の変化とともに、会社側が社員の働く環境を整えていかないと人材を獲得するという部分での競争において優位な立場に立てないので、積極的にやっている会社が多いのかなということと、時代の流れがどんどんそうなっているので、それが標準的になってきたんじゃないかなと思います。

好きなことでインプットをして、ゲーム作りなど普段の業務に活かしてほしいという狙いで、2018年頃から制度を導入しました。家族やペットなどは休暇の対象外なんですが、これまでにプロ野球の試合を観に行った、アーティストのライブに行ったなど社員の方は色々活用しているそう。働き方改革も叫ばれるなか、どんどん自由になる働き方に、企業側もついていかないといけない、柔軟に対応していくことが今後も必要になってくると、企業の福利厚生もニーズに合わせて多様化しているようでした。