CDで聴けるハザードマップ

年明けから能登半島地震もあり、みなさんの防災意識もさらに高まっていると思います。視覚障害がある方・目の不自由な方に地域の水害リスクをわかりやすく伝えようと埼玉県加須市が『耳で聴く洪水ハザードマップ』を作りました。
加須市役所 危機管理防災課 小林英憲さんのお話です。

加須市役所 危機管理防災課 小林英憲さん
「水害時の避難洪水ハザードマップがあるんですが、視覚の障害のある方も耳で聴いていただくものになります。合計75分くらいの内容です。去年10月に視覚に障害のある方と意見交換を行いました。令和元年に台風19号があって、加須市は利根川に隣接しているんですが、水位が急上昇して深夜に避難指示等が出されました。3万人近い方が避難しました。今度台風がきたときに、どこに、いつ避難したらいいか、音声で聴くハザードマップがあるとありがたいという話になりました。

弱視の方はインターネットを使えると話してたんですけど、全盲の方は『インターネットは使ったことがなくて、普段使い慣れたCDで聴けるので、非常にCDがありがたい』という話をしていました。」

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CDは、加須市が『やよい』という朗読ボランティア団体に録音を依頼して、去年12月に完成しました。市内に住む希望者に無料で配っていて、全部で80枚作ったCDのうち、いま半分の40枚ほど配布済みということ。目が不自由な方のほか、地元の眼科でも紹介したいと、医師がチラシなどを受け取りに来たそうです。

情報を分かりやすく CDで聴くハザードマップ

実際にどのような内容が収録されているのか、CDの音声の一部をご紹介します。

「警戒レベルと避難情報。警戒レベル4で全員避難。加須市では降水量や河川の水位などの状況により、段階的に避難情報を発令します。

水害時避難場所、北川辺地域の方向け。大規模水害などに対する一時的な避難場所です。高齢者等避難発令に伴い開設する施設。『市民プラザかぞ』バスマークがあります。住所、中央2の4の17。避難可能階数2階以上。
施設収容可能人数3125人。駐車可能台数165台。ペット受け入れ可。」

警戒レベルと避難情報や、地域別の避難場所、また自分の住む場所がどれほどの水の深さになるかや、避難バスの発着場所などが録音されています。耳で聴いて分かりやすいように、ハザードマップをそのまま読むのではなく表現や読み方も工夫したそうです。加須市には、216人の視覚障害者がいらっしゃるということで、必要な方へCDを広めていきたいと話していました。

アプリの耳で聴くハザードマップ 洪水・津波・高潮・土砂災害に対応

加須市ではCDでしたが、この『耳で聴くハザードマップ』スマートフォンのアプリでも利用できるものがあります。


目が不自由な方は、例えば『スマートフォンの画面を何回タップすると次のページに進む』など、指で操作しながら音声を聴いて情報を確認しますが、その機能を使って、アプリでハザードマップを聴くことができるんです。
ユニボイスブラインドアプリを開発したUniーVoice事業企画株式会社 谷口公ニさんのお話です。

UniーVoice事業企画株式会社 谷口公ニさん
「当初洪水だけでしたが、昨年12月に津波・高潮・土砂災害のハザードマップも音声で聴くことができるようになりました。『ユニボイスブラインドアプリ』を ダウンロードします。メニューの現在地というアイコンを押すと、まずお天気情報が表示されて、それも音声で聴くことができます。警報とか注意報が出ていると、それも読み上げます。

ハザードマップというアイコンをタップすると、現在地点のハザードマップ画面に遷移します。情報化社会という中で、視覚障害者の方もスマホの保有率は高くなっています。アプリにその機能があると、いつでも身近にお住まい地域のハザードマップが確認できるところが、良さだと思っています。」

声で命を守る!耳で聴くハザードマップ

ユニボイスブラインドアプリは、もともと文字情報の二次元コードを読み取って、音声で読み上げることを目的に開発されたアプリで、そのアプリに去年6月、洪水のハザードマップが機能として追加、さらに先月、津波・高潮・土砂災害のハザードマップの情報も同時に聴けるようになりました。GPS機能で現在地周辺の情報を確認できるので、自宅以外でも、外出先で、今いる場所や周辺の情報をすぐに確認できます。アプリは無料で、目が不自由な方や高齢の方のほか、普段ハザードマップを見る習慣がない方も、誰でも簡単に情報を確認できます。

声で命を守る!耳で聴くハザードマップ

今はベータ版ということで全国どこの情報でも見られますが、4月以降は、安定して情報を提供するため、『契約した自治体』の情報を提供する予定だということです。


CDでもアプリでも、まずはハザードマップで住んでいる地域の情報を確認することが大事ですね。