日々の天気や街のトレンド、おいしいゴハンに大人の悩み、社会の仕組み・・・1日イチ「へぇ~」なトピックスを。新進気鋭のコラムニスト、ジェーン・スーが、生活情報や人生の知恵をナイスなミュージックと共に綴る番組。
この季節に気をつけたい食中毒
食中毒は一年を通して発生しますが、「細菌」が原因となっている食中毒は6月~8月の今の季節に多く発生します。湿度や気温が高く、細菌が増えやすい環境が整ってしまっているからなんです。
食中毒は季節によって注意してほしいところが若干違うので、今回は、「この季節に気をつけたい食中毒」と題して、医療ジャーナリストで医師の森田豊さんに教えていただきました。
カレーを作った時に要注意!「ウェルシュ菌」
「ウェルシュ菌」は煮込み料理の放置するときに多く含まれます。この季節で多いのは「カレー」ですね。
野菜やお肉から溶け出す「うま味のもと」は、出汁などに多く含まれるグルタミン酸が増えることによって、2日目のカレーは美味しくなると言われていますが、食中毒の観点から考えると、この季節は特に気をつけたいです!多くの細菌は熱を加えることによって死滅するんですが、加熱しても死なない細菌もあるんです。その代表例が「ウェルシュ菌」食中毒の原因になります。
ウェルシュ菌の中には熱に強いものがあって、常温で増殖してしまうんです。特に43℃~45℃くらい、すなわち、鍋を常温で冷ましている間に増殖しやすいということなんですね。仮に翌日、再び過熱したところで「細菌は死なない」んです。ですので、カレーが冷めるときの、43~45℃の温度になる時間をできるだけ短くすることが大切!
まずは、一度に大量に調理することを避け、調理後は、なるべく早く食べてしまうこと。
そして保存するときは早く冷めるような容器に小分けにして、素早く冷蔵庫に入れること。
鶏肉を食べるときに要注意!「カンピロバクター」
カンピロバクターは主に「鶏肉を生で食べたときに生じやすい細菌性の食中毒」「鶏刺し」や「鶏わさ」などを販売することを禁止しているわけではないのですが、厚生労働省は、鶏は過熱して食べるように推奨しています。過去の研究では、食用鳥の処理場のカット鶏肉のおよそ6割以上から検出されたこともあります。
鶏肉を安全に調理するポイント
農林水産省がすすめている対策ですが、まずは「しっかり手洗いする」、そして「まな板などの調理器具を清潔に保つ」ということ。調理するとき、鶏肉がほかの食材、特に生で食べる野菜や果物などと接触することを防ぐために、調理器具を分けるか、鶏肉は最後に切るとよいそうです。また、「鶏肉を洗わないこと」というのを呼びかけています。
鶏肉から出る赤い汁が気になって洗う人もいると思います。肉を洗った時の水がキッチンや周りの食材にはねると、一緒に飛び散った食中毒菌によって汚染されてしまう可能性があります。赤い汁が気になる時は、キッチンペーパーなどで拭き取りましょう。あとは当たり前のことですが、お肉の中心が白くなるまで、よく加熱することを忘れずに。
日常生活で意識して欲しい「食中毒の予防方法」は・・・
電子レンジを使って鶏肉を調理する際は、加熱ムラをなくしましょう!
電子レンジを用いた加熱では中心部分や場所によってが温まりにくい食品もありますよね。例えば、鮭の塩焼きを電子レンジで2分間、再加熱したものをサーモグラフィーで見ると、中心部は青や緑になっていて「加熱ムラ」ができていました。このように、食品が大きい塊だと均一に温まらないこともあります。これによって火が入らなかった部分に細菌が残ってしまったり、そこから細菌が広がってしまう、ということです。
エコバッグやペットボトルにも注意しよう!
エコバッグ、洗っていますか? もしくは定期的に買い替えていますか?清潔に保っていないエコバッグに付着した菌が食材に移って、食中毒になった例も過去にはあるんです。3カ月以上洗っていないエコバッグに付着している細菌を検査すると、高い可能性で大腸菌が検出されたとのことなので、みなさん今一度注意しましょう。
ペットボトルの飲み掛け
特に水分補給で今の季節はペットボトル飲料を買いがちですよね。飲みかけのペットボトルを長時間放置すると食中毒の菌が繁殖します。ペットボトルの麦茶に口を付けて飲み、唾液が混入したものを30℃で保存すると、24時間後の菌数が、75倍に増加しているという報告もあります。せっかく調理に気をつけても、ここから細菌をもらってしまうなんてこともありますので、注意してください。
改めて・・・「避けるべき危険行動」
生鮮食品を買った後の寄り道
熱い料理をそのまま冷蔵保存
調理した食品の長時間放置
飲みかけのペットボトルの再利用

(TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』より抜粋)