生まれて初めての刑務所ホテル、ドキドキ感が募る
「うぅぅっ・・・刑務所リノベホテル・・・怖いかも」。
取材スケジュールを手にした時の正直な感想です。ちょうど出発前に、テレビ番組『世界ふしぎ発見』でも紹介されていた、オランダ南部ルーモントにある今話題の刑務所ホテルの「ヘット・アレストハウス」。夜、変な夢にうなされないだろうかと、ドキドキしながらオランダ初日にそのホテルに泊まってみました。
アムステルダムから電車で約2時間、ドイツ国境にほど近いオランダ南部の街ルーモントは、ヨーロッパ最大級のデザイナーズアウトレット(別記事で紹介)がある街としても知られています。
到着したのは夜。駅を出て7~8分ほど歩くと、左手にムンスターケルク教会が見えてきます。その少し先にある、ひときわ目立つ白とグレーのモダンな建物、これがヘット・アレストハウスです。
1863年に建てられた刑務所が1997年に一度閉鎖され、2002年にドラッグ密輸業者の留置場として再オープン。しかし再び2007年に完全閉鎖されました。その後、大規模な改装を終え、2011年4月にラグジュラリーホテルとして生まれ変わりました。
中に入って一瞬で虜に!
一歩ロビーへ足を踏み入れると、そこはモダンアートの世界。
まず客室に入って目に飛び込んできたのは、黒人の囚人が横を向いてにっこりと微笑む巨大なモノクロ写真。各部屋にひとり一人違う囚人の写真が掲げられています。これがまた、美術館かと見紛うような味わいのある写真ばかり。もちろん著名な写真家によるものです。
客室は、元囚人の監房3つを繋げて1室にしてあり、広々サイズ。筆者が泊ったのはコンフォートセルで、広さは30平米。ドアを開けると、まずはリビング、寝室、奥はバスルームとシンク、と仕切りで分かれており、3つの部屋を有している感覚で、大変使い勝手の良いレイアウトでした。リビングと寝室それぞれに液晶テレビも備わっていました。
プリズナーモチーフの遊び心にワクワク
白と黒のモノトーンで統一された客室は、囚人の監房だったとは思えないほど美しく、とにかくシンプルでシックにまとまり、清潔感に溢れています。ベッドのクッションも固すぎず、柔らかすぎず、ベッドに入るや否や、数十秒で熟睡できたことは言うまでもありません。
布団に入ろうとすると、何やら、小さなビニール袋に入った怪しげな2つの白い塊が。
監獄らしい鉄格子の窓がまた雰囲気たっぷりでした。最初の夜は、格子の窓からこのホテルに来る途中で見かけた、オレンジ色にライトアップされた教会が見えて、この部屋で過ごした囚人たちもあの教会の灯りを見て何を思っていたのだろう、などシンパシーを感じたりもしました。
ホテルのアイコン的シャンデリアに魅せられて
このホテルに2泊して、もっとも魅了されたのは、宿泊棟内の中央通路のインテリアです。
陽の光がうっすらと入る日中、そして夜は間接照明が、時間と共に黄色、紫、青などに変化し、時間帯によって雰囲気がガラリと変わるのです。
筆者は、とくに通路の中央に取り付けられた白い木製のシャンデリア風照明が大変気に入って、朝、夜、これでもかというほど、写真を夢中で撮り続けました。
最後の夜は、なんと、この通路の中で地元の人たちによるパーティが開かれており、地元の人のお気に入りのホテルであることも分かりました。
公共の場にアートがあふれるオランダの街
なぜ、このようなオシャレなホテルに生まれ変われたのでしょうか。
資料を見てみると、最初の刑務所を設計するとき、きちんとアラード・ピアソンというプロの建築家にデザイン依頼をしていました。それも1864年という年に。
オランダでは、市役所や病院、図書館、刑務所ほか、すべての公共建築費用の5%はアートに使わなければならないという法律が定められているそうです。
レストランやバーのセンスの良さは言うまでもなく、料理の盛り付けもアーティスティック。
悪い夢を見るかもしれない・・・そんな予想を覆して、この監獄ホテルにハマってしまいました。監獄をこんなエンターテインメント性溢れるブティックホテルに仕上げるとは、オランダ人のリノベーション術にあっぱれです。読者の皆さまにも是非一度宿泊していただきたい類稀なる粋なホテルですよ。
※客室カテゴリーは、コンフォート、デラックス、スイート4種の全6種。全40室。
※オランダの旅なら、オランダ・ベルギー・ルクセンブルクの3カ国で鉄道が乗り放題となる「ユーレイルパスのユーレイルベネルクスパス」を使うと便利。3、4、5、8日間のパスから選ぶことができます。こちらを利用されるのも、いいかもしれませんね!
ヘット・アレストハウス HET ARRESTHUIS
住所:Pollartstraat 7, 6041 GC Roermond, The Netherlands
電話:+31(0)475 870 870
HP:https://www.hetarresthuis.nl/en
取材協力:
KLMオランダ航空
オランダ政府観光局



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