山梨大学工学部コンピュータ理工学科の研究グループは、山梨県内の農業生産法人ドリームファーム株式会社と連携し、ぶどう摘粒時に粒数を自動測定するAI技術を共同開発した。
スマートグラスを通じて粒数を推定
今回開発された技術は、最新の深層学習モデルを独自に改良することで、通常の摘粒作業を行いながら、スマートグラスに装着しているカメラの映像やスマートフォンで撮影した写真から、作業中の房のみを自動検出し、房全体に含まれる粒数の範囲を精度良く推定できるというもの。これまでにも、ぶどうの粒数を自動推定できる携帯アプリなどは開発されていたものの、ぶどうを専用の箱に入れて撮影する必要があるなど手間がかかるものだったという。
さらなる実証実験で負担軽減に期待
既に特許を出願し、来季には実際に栽培の現場で利用できることを目指しているという。今後は、スマートグラスや高速通信ネットワークを使用した実証研究を進めていく予定とのこと。摘粒作業は、ぶどうの最終房型を形成するうえで、重要な作業である上、はさみでぶどうを切りながら粒を数えるのは新規就農者や未経験者にとっては困難な作業でもある。粒数を自動測定するAI技術を活用することで、農家の負担を大きく軽減する効果が期待できるだろう。
AIを農産物の判別に活用するケースは増加しており、7月には日本初のAI米粒等級解析アプリ「らいす」の提供開始も発表された。これは、スマホ写真ひとつで玄米等級を判定できるというもので、誰でも簡単に使うことができ、高価な穀粒判別機能を有する計測器の購入も必要ない。農作物検査を受ける前に自分で等級の目安を確認できるようになり、再検査の手間がなくなることから作業効率が高まるとされている。
今後どのようにAIが農作物の判別など活用されていくのか、どんな技術が開発されていくのか、農業とAIは非常に注目が集まっている分野といえるだろう。
山梨大学