カナダにあるアパートにて、飼い主が一人で300匹以上の猫を飼育していたことが判明し、地元住民を騒然とさせた。一方で人々からは、猫の保護も大事だが「飼い主のメンタルヘルスサポートも必要」という声があがっている。
『CTV News』『New York Post』などが伝えた。

オンタリオ州トロント市ノースヨークで猫を飼っているアパートの一室から「ひどい異臭がする」という住民の苦情を受け、管理会社がその部屋を調べることとなった。そこには化学防護服を着用した市の職員が訪れる様子もあった。

臭いは部屋の外の廊下一帯に広がり、向かいに住む人は「臭いがひどくて耐えられない」と話し、同じアパートの住民スティーブンさんも「死体か何かあるのでは…と思うほどの臭いだった」と明かした。

最終的に今月4日、地元の猫の救助活動を行っている非営利団体「トロント・キャット・レスキュー」が部屋に立ち入り、状況を確認した。すると単身者向けの2LDKの部屋は、所狭しと300匹以上もの猫で埋め尽くされていたのだ。


リビングルームはもちろんのこと、台所の調理台の上には数十匹、浴室も使用不可能なほど多数の猫がいた。同団体はその日のうちに70匹の猫を保護し、施設へと連れ帰った。

翌日からも数回に分けて猫を保護し、6日までに200匹ほどの猫を保護したが、まだ室内には100匹ほど残っているという。同団体のボランティア・スタッフの話によると、室内には死んだ猫も見つかったとのことだ。

保護された猫達は「バーチ・ダン動物病院(the Birch Dan Animal Hospital)」にて健康状態を調べられたが、最悪な状況で飼育されたにもかかわらず健康状態が比較的良好だったことに同病院のカーリー・ラックスさん(Karley Lux)は驚いたという。

「猫達からはノミや何等かの感染などは見つからなかったのです。
1匹だけ歯の治療が必要ですが、その程度でした。いずれにしても本当に驚きました」とカーリーさんは話しており、「猫達は比較的、フレンドリーだ」とも付け加えた。

トロント市の条例では一つの住居で飼える猫は6匹までと定められているが、この飼い主が300匹以上もの猫を飼育する経緯に至った理由は伝えられていない。なお飼い主は、すでにこの部屋には住んでいないそうだ。

今回、猫達の救助にあたった同団体の事務局長ブレンダ・ヴァンダースルイスさん(Brenda Vandersluis)は、猫は大きな群れを作るような習性を持ち合わせていないことを指摘したうえで、「猫達は食べ物の奪い合いしていたと思われます。300匹の猫をこんな狭いところで飼育するのは無理です」と語っている。


同団体によると「猫は約9週の妊娠期間で出産するため非常に繁殖力が早く、無理な多頭飼いは飼い主が制御できなくなる」という。また、400件以上の里親と1000人以上のボランティアを持つ非営利団体「ノー・キル・グループ」では「もし誰か無理な多頭飼いをしている人を見つけたら、すぐにでも連絡してくれることが最悪な結果にならずに済みます」と訴えている。

画像は『New York post 2019年5月6日付「Over 300 cats saved from hoarding situation in Toronto apartment」(Toronto Cat Rescue)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)